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無期契約社員のメリット・デメリットとは?無期転換ルールについて徹底解説

無期契約社員のメリット・デメリットとは?無期転換ルールについて徹底解説

2013年の労働契約法改正に伴って、「無期契約社員」という新しい雇用形態が生まれることになりました。無期契約社員になることには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、無期転換ルールの概要や無期契約社員になるメリット・デメリット、気をつけるべきポイントなどについてまとめて解説していきます。

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目次

2024年11月 | 派遣会社 厳選3社

サチコさん、無期契約社員という制度があると聞いたのですが、どういう制度ですか?
有期雇用の派遣社員の皆さんにはぜひ覚えてほしい制度です!今日は、無期契約社員について解説しましょう。

有期契約労働者の無期転換ルールとは

有期契約労働者は、「無期転換ルール」を適用することによって、無期契約社員になることができます。
無期転換ルールとは、有期契約労働者側からの申し込みによって、雇用期間を有期から無期に転換することができるという新しいルールのことです。同一の企業との間で有期雇用契約が5年以上にわたって更新されたときに、この無期転換ルールが適用されます。
有期契約労働者とは、期間限定の労働契約を締結・更新している人のことで、契約社員やアルバイト、派遣社員などが該当します。ルールの適用条件を満たしている有期契約労働者から無期転換の申し込みを受けた企業は、その申し出を断ることができません。
具体的にどの時点で無期転換申込権が発生するかは、それぞれの契約期間によって異なります。

.無期転換ルール適用時期図解
たとえば、契約期間が1年の場合は、5回目の更新をした後に無期転換申込権が発生し、契約期間が3年の場合は1回目の更新後に無期転換申込権が発生します。
なお、この無期転換ルールを行使するには、2013年4月1日以降に開始された有期雇用契約から通算して5年以上であることが必要になるので、起算日を間違えないように注意しましょう。



2013年に施行された無期転換ルールですが、5年後の2018年4月から実際に使う人たちが増えるため、「2018年問題」と言われています。


有期雇用の人でも5年以上安定して勤めれば無期雇用に転換できるというルールなんですね。でもそれは無期雇用の正社員とは何が違うのでしょうか?
グッドクエスチョン!無期契約社員と正社員はまったく別なので、違いを説明しましょう。

「無期契約社員」「正社員」「限定正社員」の違い

無期契約社員は、有期雇用の契約社員や派遣社員が5年勤続したらなれると説明しました。有期雇用から無期雇用になったらそれはすなわち正社員なのではないかという疑問が生じると思いますが、無期契約社員と正社員は別物と考えた方が良いでしょう。

定義

正社員:職務・勤務地・労働時間等を限定していない無期契約社員
限定正社員:職務・勤務地あるいは労働時間を限定している無期契約社員
無期契約社員:契約期間以外の労働条件を直前の有期雇用契約時と同一とする「無期転換ルール」によって転換した社員

引用:厚生労働省


無期契約社員に転換して変わることは、「契約期間が無期限になること」のみです。待遇や職務、仕事内容、福利厚生など、契約期間以外の側面においては基本的には有期雇用の社員と同じになります。たとえば、無期契約社員になったとしても、正社員のようにボーナスや退職金がもらえるようになる、ということではありません。
無期契約社員のほかに、限定正社員という雇用形態もあります。無期契約社員の待遇が見合わないと感じる場合は、正社員登用や限定正社員への転換を交渉してみるのも手です。正社員や限定正社員に転換するには「正社員転換制度」という別の制度を使うことになります。

なるほど。無期契約社員=正社員ではないんですね。では、無期契約社員になるメリットって何があるのでしょうか?
今から、無期契約社員のメリットとデメリットを説明していきます!

無期契約社員のメリット・デメリットとは

無期転換を申し込んで無期契約社員になることには、良い点ばかりではありません。悪い点もいくつかあります。ここからは、無期契約社員として働くメリット・デメリットについて紹介していきます。

無期契約社員のメリット

雇用の安定

無期契約社員になると、契約期間が無期限になり、雇用が安定するメリットがあります。派遣特有の雇止めなどの不安がなくなり、長期的なキャリア形成を図ることができるようになるのは、無期契約社員の大きなメリットだと言えるでしょう。次の更新について不安を抱えることがなくなり、仕事に集中しやすい環境を作り上げることができます。

安心して仕事に打ち込める

無期契約社員の場合、基本的に労働条件は直前の有期雇用契約の際と同じものを引き継ぐことになっており、同じ企業で同じ仕事をし続けられるため、安心して仕事に打ち込みやすいと言えます。違う職場を転々として、毎回新しい仕事を覚えることで蓄積していく負担がなくなるので、一つのスキルを磨きたいと考えている人にとっては良い働き方だと言えるでしょう。

正社員と比較すると責任が軽い

また、無期契約社員は正社員に比べて、重い責任を負う必要はありません。プレッシャーを抱えてストレスに悩むこともないので、重い責任を負わずに仕事を続けたいという人にしてみれば、無期契約社員は画期的な働き方だと言えます。

無期契約社員のデメリット

待遇向上があまり期待できない

正社員との違いでも説明しましたが、「無期契約社員=正社員」ではありません。無期契約社員は雇用関係が継続するというだけであって、正社員と同等の扱いを得るのは難しいと言えます。実際は有期雇用契約の際の労働条件が引き継がれる場合が多く、正社員同様にボーナスや退職金がもらえるようになるケースは稀です。無期契約社員になれたとしても、昇進や昇給などはあまり期待できません。有給休暇や産休など福利厚生の扱いもこれまで通りとなるケースが多く、無期契約社員になったからといって劇的に待遇が良くなるわけではないので注意が必要です。

有期雇用に比べると責任が重くなる可能性

業務内容は変わらないままですが、有期契約労働者に比べると責任が重くなる場合があります。責任を避けて働きたい人にしてみれば、この点は大きなデメリットに感じてしまうでしょう。

正社員へのステップアップがしずらい

無期契約社員になる最大のデメリットは、無期契約社員になることで正社員へステップアップしづらくなることです。無期契約社員は同じ業務で固定されるため、正社員になるきっかけが少なくなってしまいます。将来、正社員になりたいと考えている人は、無期契約社員になるかどうかを慎重に判断しなければなりません。給与アップややりがいを求める人にしてみれば、無期契約社員はデメリットの多い働き方だと言えます。

無期雇用契約こんな人におすすめ

・有期雇用で今の仕事内容を変えずに雇用を安定させたい。
・将来正社員になる予定ない。

無期雇用契約こんな人はやめたほうがいい

・色々な会社を転々としてスキルアップしたい。
・雇用の安定よりも責任が軽いほうがいい。
・将来正社員になりたい。


つまり、有期雇用で今の仕事や待遇に満足してて、その企業でずっと働きたい、みたいな人が無期契約社員に向いているということですね?
そうですね。「無期契約社員になったけど思ったのと違った…」とならないように申し込みは慎重にしましょう!今の会社にこだわりがない人は転職を検討したほうがいいかもしれません。
なるほど。ちなみに、派遣社員から無期雇用になることもできるんですよね?
はい、できます!

派遣における無期転換「無期雇用派遣」

派遣においては、無期転換ルールが施行されたあと、「無期雇用派遣(常用型派遣)」という新しい制度が誕生しました。
派遣社員の場合、無期雇用に転換するのは派遣会社(派遣元企業)との契約です。実際に働いている企業との契約ではないので注意しましょう。派遣社員の場合は、派遣会社との契約が5年以上継続していれば、無期転換ルールを使って、派遣会社の無期契約社員になることができます。

無期雇用派遣についての詳細はこちらの記事をご覧ください。


無期雇用派遣の取り組みは、企業ごとに違いがあるので、各派遣会社の公式ページを確認しましょう。

無期雇用派遣に取り組んでいるサービス一覧

ミラエール
ファンタブル
キャリアウィンク


派遣社員における無期転換ルールの適用例

この段落からは、派遣社員に無期転換ルールを適用するときの事例について詳しくみていきましょう。

.派遣社員の無期転換図解

年単位で更新しながら継続的に働いている場合

1年や3年といった期間ごとに更新しながら継続的に働いている派遣社員の場合、他の有期契約労働者と同じように、通算契約期間が5年以上を数えれば派遣社員も無期転換を申し込むことができます。なお派遣社員の場合は、無期雇用契約を締結するのが派遣先ではなく、派遣元の企業です。つまり、通算契約期間が5年を超えた段階で派遣会社に対して無期転換を申し込むと、有期雇用契約が満了した日の翌日から派遣会社との間に無期労働契約が成立することになります。

登録型で断続的に働いている場合

登録型派遣とは、派遣会社にあらかじめ登録しておき、仕事があるときに紹介を受けて毎回労働契約を結ぶ働き方です。契約後は、派遣先での労働を開始するという形態の派遣になります。登録型派遣で断続的に働いている派遣社員でも無期転換ルールは適用されるため、通算契約期間が5年を超えれば、派遣会社と無期雇用契約を締結することができます。
無契約期間が1カ月以内であれば、無期転換ルールの適用に問題はありません。ただし、無契約期間が1カ月以上続いたようなときは、通算契約期間がクーリングされる場合があるので注意しましょう。なお、派遣会社に登録しているだけの状態の期間は、通算契約期間にはカウントされません。カウントされるのは、派遣先の企業と労働契約を結んだ後の期間のみとなります。

サチコさん、1つ疑問に思ったのですが、無期契約社員は1回有期契約で5年間働かないとなれないんですか?
派遣では、最初から無期雇用派遣で働くという方法もあります。

最初から無期契約社員になるには

有期雇用を経験しないと無期雇用に転換できないかというと、そういうわけではありません。派遣会社の選考を通過することで、派遣会社の無期雇用派遣社員として採用されます。
無期雇用派遣社員になったら、雇用形態は派遣ですが、無期限での雇用が保証されます。
通常の派遣では、契約終了して仕事がなくなると、給与の振り込みがストップしますが、無期雇用派遣社員は派遣先との契約が切れても、派遣会社から給料が月給で支給されますし、昇給やボーナスもあったりします。

無期雇用派遣について気になる人は、こちらの記事で詳しく見てみてください。



新卒で無期雇用派遣になった男性の体験談です。


無期雇用派遣の派遣会社は、手当や昇給制度が充実しているスタッフサービスの「ミラエール」がおすすめです。

無期契約社員の概要やなる方法についてイメージができてきました!
それでは、最後に注意点です!

無期転換を選択するときに気を付けたいポイント

無期転換ルールを使う際に注意したい点をまとめました。

契約期間のクーリングに注意

無期転換ルールを行使したとしても、契約期間がクーリングされることがあるので注意が必要です。無期転換ルールにおけるクーリングとは、同一の企業との間で有期雇用契約を締結していない期間が一定以上続いた場合、それ以前の契約期間が通算対象から除外される制度のことです。クーリングされるかどうかは、無契約期間の長さと無契約期間以前の通算契約期間の長さによって決まります。
具体的にいうと、たとえば無契約期間が1カ月以上かつそれ以前の通算契約期間が2カ月以下の場合、無契約期間が5カ月以上かつそれ以前の通算契約期間が10カ月以下といった場合にクーリングされることになります。なお、無契約期間が6カ月以上ある場合は、それ以前の通算契約期間の長さに関わらず、すべてクーリングされることになるので注意しましょう。

契約内容を確認する

5年以上の契約期間を経て無期転換を選択するときは、契約期間が無期になるということ以外に、労働条件が変わる点があるかどうかを確認しておく必要があります。基本的には、有期雇用と同じ労働条件を適用しますが、企業によっては就業規則などが変わる可能性があるので事前に確認しておきましょう。

無期転換時に確認したい項目

・賞与(ボーナス)有無
・特別休暇(産休・育休)有無
・有給日数
・昇給
・社会保険加入条件
・福利厚生

法律の改正などによって無期契約社員の待遇が改善される場合もあるため、無期転換の動向については常にアンテナを張っておくことも大事です。

雇い留め企業に注意

悪質な企業の中には、無期転換ルールが適用される勤続5年の直前で突然解雇するというところがあります。しかし、これは違法です。企業は、有期雇用労働者からの無期転換を拒否することはできません。企業から「無期転換するなら契約を切る」「無期転換はできない」などと言われたら、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)(無期転換ルール特別相談窓口)に相談すると解消する場合があります。派遣社員は、派遣会社に相談してみましょう。

定年退職後の有期雇用には適用されない

無期雇用契約社員が定年を迎えて有期雇用に転換した場合、5年間の有期雇用契約を経てもその後に無期雇用契約の転換申込権は発生しないという特例があります。ただし、定年後にグループ企業ではない会社に有期雇用で就職した場合は、無期転換ルールは適用されます。

派遣クイズ

有期契約から無期契約に転換する場合、有期雇用の社員は雇用契約先の企業に許可を取らなければならない。

派遣クイズ

あなたは同じ派遣会社で派遣社員として継続して働き、5年目になりました。無期転換の申込はできる?


無期契約社員になるかどうかは慎重に選択しよう

興味深い制度ですが、デメリットもあるので慎重に決めたいですね…!
そうですね。でもまず、サビちゃんは、まずは派遣で5年間契約継続する優秀な派遣社員を目指しましょう!
有期契約労働者の無期転換は、雇用の安定などの観点からは画期的なルールですが、必ずしもメリットばかりではありません。派遣社員などの有期契約労働者は、通算契約期間が5年を超えたからといって自動的に無期契約社員になるわけではないので、メリットとデメリットを比べながら、今後について慎重に選択するようにしましょう。

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