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2024年11月 | 派遣会社 厳選3社
派遣先は派遣社員を面接などで選考できない
直接雇用である通常の転職活動では、実際に働く企業で面接による選考があります。しかし、派遣では派遣先企業による派遣社員に対する面接が禁止されています。そもそも、派遣先企業には派遣社員を選ぶ権利がありません。派遣先の企業は、一定期間後に社員登用する予定の派遣社員以外の派遣社員を派遣先の指標で選考することが禁止されています。これは労働者派遣法の第26条6項によって明確に定められており、ルールを破るのは法律違反になります。
労働者派遣法第26条第7項(抜粋)
この条文の中の「派遣労働者を特定することを目的とする行為」の中に、「面接」が含まれているということです。
派遣先に禁止されている選考内容
派遣先は立場上、派遣社員の選考ができないと述べましたが、ひと口に選考といっても選考材料にはさまざまなものが存在します。どのようなことが禁止されているのでしょうか。禁止されている選考内容の具体的な例をここで確認しておましょう。
派遣労働者を特定することを目的とする行為
・履歴書・職務経歴書による選考
・適性検査による選考
・年齢・性別による選考
面接による選考
派遣先企業は派遣社員を受け入れるにあたって、事前に面接を実施して派遣社員の選考をすることができません。ただし、これは選考が目的の面接をすることが禁止されているというだけのことであって、採用が決まった派遣社員と就業前に打ち合わせなどの機会を設けることは問題ないとされています。そのほかにも、派遣元の企業に対して面接を要請することも禁止されています。派遣先の企業は、人材が派遣されるのを待つことしかできません。
履歴書・職務経歴書による選考
派遣先企業は面接だけでなく、履歴書や職務経歴書を選考材料として使用することも禁止されています。もちろん、派遣会社に対して書類の提出を求めることもできません。とはいえ、何の情報もないまま採用するのは派遣先だけではなく派遣元にもリスクが生まれてしまいます。そのため、多くのケースで「スキルシート」というものを活用しながらリスクの軽減を図っています。スキルシートとは派遣社員の能力に関する情報が書かれた書類のことで、職歴や資格が書かれていますが、そのほかの細かな個人情報が一切書かれていないので名前などを知ることはできません。
適性検査による選考
派遣先企業は、採用前の候補者に対して適正検査や筆記試験といった、何らかの能力を測定するテストを実施して選考に活用することも禁止されています。そのため、派遣社員は実際に働く企業が決まるまでのプロセスの中でテストの実施を要求されるようなこともありません。
年齢・性別による選考
年齢を限定することは雇用対策法によって、性別の限定は男女雇用機会均等法によって禁止されています。これは雇用形態にかかわらず決められていることなので、正社員の採用であろうと年齢や性別を理由に選考対象から除外することはできません。当然、派遣先企業も年齢や性別を限定して派遣社員の募集をすることも同様に禁止されています。ただし、正常に働くことができないなど極端なケースは例外とされることもあるので理解が必要です。
派遣先の選考が禁止される理由①派遣社員と派遣先は雇用関係にないから
派遣先の企業が派遣社員を選考できない理由には、その立場が大きく関係しています。
下の図をご覧ください。
派遣の仕組み図
そもそも派遣社員が属するのは派遣先の企業ではありません。派遣元となる別の企業(派遣会社)に所属しています。派遣先の立場としてできることは、派遣会社から派遣された社員に業務指揮命令することしかありません。立場上、派遣社員の能力を評価し派遣先とのマッチングを決定することができるのは派遣会社なのです。もし派遣先が面接による選考を実施するなど禁止事項に違反した場合、派遣先には労働者派遣法の違反を根拠に行政指導が行われることになります。また、違反により派遣社員に損害が生じた場合は、派遣先がその賠償責任を負わなければなりません。
派遣で面接が禁止されている理由②派遣社員の就労機会の保護
派遣先による面接の禁止は、派遣社員を守るためでもあります。
派遣先が面接して派遣社員を選んでしまうと、容姿や年齢など、職業能力以外で派遣社員がジャッジされることになり、正当な労働機会が奪われる危険性を考慮して、面接は禁止となっています。
ちなみに、「紹介予定派遣」の場合は例外的に面接が認められています。
紹介予定派遣についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
派遣社員の採用は面談(職場見学・顔合わせ)で決まる
いくら派遣先の企業が派遣社員の選考ができないといっても、それぞれの企業に全く指標がないわけではありません。事前の情報がないままでは派遣先と派遣社員の双方に大きなリスクが発生してしまうでしょう。少しでも不利益を予防するために、派遣社員の派遣先を決定するにあたっては選考以外の方法として、職場見学や顔合わせといった機会を儲けるのが慣例となっています。
面接と職場見学や顔合わせの違いは、選考を目的としていないことです。
職場見学や顔合わせは、選考の目的で行わないのであれば事前に実施することが可能となっていますが、実際は職場見学・顔合わせという名目を使いながら選考の場として利用している企業も少なくありません。当然、それは違法となり罰せられる可能性があります。
しかし、職場見学や顔合わせでの立ち振る舞いが採用結果に何の影響も与えないのかといわれれば疑問が残ります。禁止されていることとはいえただでさえ判断材料の少ない派遣先の企業は、どのような人材なのかその流れの中で判断してしまうのが現実なのではないでしょうか。そのため、職場見学や顔合わせに臨むときはある程度の対策をしておかなければなりません。派遣社員の採用はそのときの状況で決まると考えておいてほうがいいでしょう。
派遣社員の面談(職場見学・顔合わせ)の流れ
派遣社員の採用・不採用が職場見学や顔合わせで実質的に決まることを踏まえたうえで、それらがどのように行われるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。ここでは、派遣社員の職場見学や顔合わせの具体的な流れについて説明していきます。
1. 派遣会社のスタッフと待ち合わせ
社内見学や顔合わせは、派遣会社の担当スタッフが同行してくれるようになっています。一般的に予定時刻の15~30分前に派遣先企業の最寄り駅、あるいはビル前などで担当スタッフと待ち合わせをするケースが多いです。担当スタッフと合流したあとは、予定時刻まで大まかな流れを確認したり、内容について軽い打ち合わせをしたりするので、気になることや不安なことがあればこの時点で相談しておくといいでしょう。
2. 派遣先担当者へ挨拶
予定時刻の5分ほど前になると、担当スタッフが派遣先企業の受付へと連れて行ってくれるので後ろについていきます。一般的に派遣先との挨拶は担当スタッフが主導する形で進んでいくので、担当スタッフに続くかたちで丁寧に行いましょう。紹介が上手なスタッフであれば、「こちらが派遣社員の○○です」といって挨拶のタイミングをつくってくれることもあります。しかし、任せっきりにすると咄嗟のときに言葉が出なくなってしまうことも考えられるので、ある程度シミュレーションはしておいたほうがいいでしょう。
3. 自己紹介と質疑応答
職場見学や顔合わせは、会議室などで面談をするようなかたちで行われるのがほとんどです。最初に同行している担当スタッフが派遣社員のスキルシートを派遣先の担当者に渡して簡単な説明を行い、そのあと派遣社員自身がこれまでの経歴を中心に自己紹介をしていきます。派遣先担当者にどのような人物であるかを知ってもらう時間にもなるので、アピールできるようにあらかじめ話すことをまとめておいたほうがいいかもしれません。
最後は派遣先担当者からいくつか質問を受けることが多いです。パソコンのスキルや残業対応など簡単な内容なのでスムーズに答えられるようにしておきましょう。
ここまでが大まかな流れで、全体を通して20~30分で終了します。お礼と挨拶が済んだら解散になります。
4. 採用結果の連絡
派遣先とコンタクトを取り終えると、担当スタッフが派遣会社に戻ったあと採用可否について派遣先企業と連絡を取り合ってくれます。基本的に派遣社員は派遣会社からの連絡を待つだけで、派遣先に連絡をしたりする必要はありません。採用でも不採用でも後日担当スタッフから連絡が来ることになりますが、採用の場合はこのタイミングで就業開始日を決定する必要があるので、その相談もあわせて行われます。人それぞれ都合は異なりますが、基本的には派遣先企業の希望日に合わせる方が関係者の動きがスムーズになるので、その点は配慮しておいたほうがいいでしょう。
採用されやすい派遣社員の特徴
派遣社員は派遣先の企業に選考されることはありませんが、先ほどから触れている通り、顔合わせなどでは少なからず人となりを観察されることになります。そのときに何か見過ごせない問題が発覚すると、結果として不採用になることも十分にあります。派遣先は職場見学や顔合わせでどのようなことに注目しているのでしょう。不採用にならないように、ここで採用されやすい人の特徴を確認しておきましょう。
表情が明るい
ファーストコンタクトで情報が限られている中、採用する側にとって表情はかなり貴重な判断材料になります。職場見学や顔合わせで初めて派遣先の担当者と会うときは、表情が明るい人のほうがほぼ好印象を抱かれやすく、有利になるといって間違いありません。人前で緊張してしまうタイプの人でもなるべく笑顔でいるように心掛けましょう。たとえ笑顔を作るのが苦手であったとしても、笑顔でいようと努力さえしていればその姿勢は相手に十分伝わります。どうしても苦手という場合は、あらかじめ鏡の前で笑顔の練習をしておくなどの対策をしておくと少しは無理せず笑えるようになるかもしれません。
身だしなみが整っている
身だしなみは派遣社員に限らず社会人に求められるマナーなので、服装や髪形はもちろん、女性であればメイクやネイルなどにも最低限気を配っておきましょう。人それぞれ個性があるとはいえ、やはり採用現場においては控えめにしている人がのほうが好印象を抱かれやすいです。採用を勝ち取るためには、普段派手な格好をしていても顔合わせのときだけは無難にしておくのが賢明といえるでしょう。たとえ派遣先がオフィスカジュアルで出勤することを許可しているような職場であったとしても変わりません。どのような状況においても、職場見学や顔合わせの時点ではスーツを着用したほうが無難です。
また、身だしなみは清潔感にも直接的に影響を及ぼします。髪の毛がボサボサだったり、シャツやスーツにシワが入っていたりすると、衛生的に良くない印象を抱く人も多くいるでしょう。また、職種によっては派手なマニキュアや明るい髪型が不快に思われる可能性もあります。社内見学や顔合わせに行くときは、清潔感にも配慮しておかなければなりません。
コミュニケーション能力がある
明るくはっきりと話す人や受け答えがしっかりしている人など、コミュニケーション能力が高い人は派遣先の従業員ともうまく関係を築けると思ってもらえることがほとんどです。また、仕事をするにしてもコミュニケーションをうまくとれる人ととれない人では能力に差が出てくるでしょう。作業の進捗度にも直接的に影響を及ぼすので、多くの企業が人材を探すときはコミュニケーション能力を重要視しているのは確かです。しかし、コミュニケーション能力に自信がないからといって諦める必要はありません。どれだけ人と触れ会うのが苦手な人でも、丁寧な言葉遣いを心掛けて話すことはできます。それだけでも十分好印象を抱かせることはできるので、職場見学や顔合わせに臨むときは意識しておくといいでしょう。
やる気が感じられる
やる気のない人が企業に必要とされないのは言わずもがなですが、やる気があっても相手に伝わらないということがあるのも事実です。モチベーションはものすごくあるにもかかわらず、それが相手に伝わらなかったことが原因で不採用になってしまうようなことがあればかなり悔いが残るでしょう。そのような事態を防ぐためには、勿体ぶったりせずにやる気があることを率直に伝えなければなりません。実際、「働きたい」という気持ちを派遣先の担当者に伝えられる人は採用面でも有利になるのが現実です。
たとえそれが未経験の仕事であったとしても、派遣先で予定されている業務に興味があることや、分からないことも積極的に学びたいという意欲をアピールしなければチャンスは巡ってこないでしょう。経験の有無にかかわらず、がむしゃらにやる気をアピールすることが採用の決め手となることも少なくありません。派遣先に判断材料が少ないということは、すなわち派遣社員にもアピールする機会が多くないことを意味しています。職場見学や顔合わせの場であっても遠慮せずにやる気を伝えることが大切です。
面談ではどんな質問がされるの?
派遣の面談・顔合わせ時によく聞かれる質問をまとめました。面談には、派遣会社の営業マンも立ち合いますし、基本的にはスキルシートに沿って質問されるので、そこまで身構える必要はないですが、話が苦手な人はあらかじめ準備しておきましょう。
「自己紹介をお願いします。」
派遣面談における自己紹介では、個人を特定するような情報を話す必要はないということを覚えておきましょう。先ほども触れたように、派遣先が派遣労働者の個人を特定するのは法で禁じられています。本名や年齢、住所などは言わなくてもいいです。自己紹介においては、これまでの経験や派遣歴、趣味などを簡単に話す程度でもOKです。
例
「職務経歴を教えてください。」
職務経歴は、派遣の採用・不採用を決めるうえで重要な情報になってきますので、偽りなく詳細に答えましょう。派遣会社が作ったスキルシートにおおまかに書かれてあると思うので、その詳細を話していけばOKです。可能であれば、その経験から学んだことなども伝えると、印象が良くなります。
例
「志望動機を教えてください。」
通常の派遣では志望動機が聞かれることはありません。基本的に派遣ではどの派遣先になるのか企業名は事前に明かされていないためです。ただし、紹介予定派遣の場合は例外で、志望動機が聞かれるケースがあります。
「スキルを教えてください。」
派遣におけるスキルは、例えばエクセルやワードなど、実務に使えるものです。必ずしも資格を持っていなくてもいいので、その場合はこれまでどういった業務で使ってきたかなどを話せると良いでしょう。
例
「仕事への意気込みを教えてください。」
先ほども紹介した「やる気が感じられるか」を見るための質問です。これまでの経験を生かしてその会社で何をしたいか、どういう価値提供ができるかを事前に整理しておきましょう。
例
その他の例は、こちらの記事でも紹介しています。
面談時に質問しておくべきこと
派遣の面談では、逆に「質問はありますか?」と聞かれることがあります。面談で聞いておくべきこと、どういう質問をすれば好印象になるのかを紹介します。
仕事に関する質問
最も無難なのは、仕事に関する質問です。「どういうソフトを利用するのか?」や「1日の仕事のながれ」などを聞いておくと、自分が実際に採用された際に仕事をすることがよりイメージしやすくなります。
やる気を感じさせる質問
逆質問の場で、やる気をアピールすることもできます。「御社が社員に求めていることは?」「現場で大切にしていることは?」などを聞くと、そこで働きたい意欲があることをアピールできます。ただし、特に気になっていないことをアピールのためだけに質問をすると逆に印象が悪くなるリスクもあるので、気を付けましょう。
こんな質問はNG!
面談時に、絶対にしてはいけない質問があります。それは、「待遇」「時給」「正社員雇用」に関する質問です。こうしたものは「雇用契約」に関わることですので、基本的には派遣会社とのやりとりを通して行わなければなりません。気になるところではあると思いますが、顔合わせや職場見学はあくまでも「業務のための打ち合わせ」なので、契約に関わることには触れないようにしましょう。
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派遣の登録会から就業開始までの流れ
もしも面談で不採用になったら?
面談が終わったあと、後日採用結果の連絡が来ますが、残念ながら不採用になることもあります。面談のときに振る舞いなどで会社や今回の募集要項に合わないと判断されたか、もしくは他の派遣会社が紹介した候補の人が選ばれたというのが主な不採用の理由でしょう。
もしも、不採用になったとしても慌てずに次の候補を見つけて応募しましょう。派遣での不採用は珍しいことではないので、落ち込む必要はありません。
不採用になることを見越して、求人を同時に複数応募しておくのもひとつの手です。
派遣サーチで求人を探す
派遣の面談では、履歴書の提出が求められる。
面談は「業務のための打ち合わせ」なので、面談後に不採用になることはない。
面談対策をしっかりしたい人におすすめの派遣会社
派遣の面談が不安な人は、担当者によるサポートが手厚い派遣会社がおすすめです。
リクルートスタッフィングは、大手の派遣会社なこともあり、優秀な担当者が多く在籍しております。
派遣として働くのに不安がある方は、相談に乗ってもらいながらすすめていくのがよいでしょう!
派遣社員の採用は面接のプレッシャーに弱い人でも大丈夫!
派遣社員の場合、派遣先を決めるのに明確な選考プロセスは存在しません。また、職場見学や顔合わせも派遣会社のスタッフが同行・同席してくれるのでプレッシャーも軽減されます。働く意欲さえあれば担当スタッフがアドバイスをくれたり、相談に乗ってくれたりとサポートも受けられるのが派遣社員の魅力です。