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2024年11月 | 派遣会社 厳選3社
日雇い派遣の概要
日雇いという言葉はよく耳にしますが、実際の定義として、日雇い派遣とはいったいどのような働き方を指しているのでしょうか。
その概要や、代表される仕事について説明していきます。
日雇い派遣の仕組み
日雇い派遣とは、その名の通り、派遣社員として1日単位で就労する働き方のことを指しています。
代表的な例として、イベント(ライブ等)の警備員や案内スタッフ、物販スタッフ、倉庫での作業、建設現場の誘導員、試験監督など、一定の期間で完結する仕事での需要が多いのが特徴です。
日雇いという言葉から連想される「1日だけ」働く派遣という意味のみではなく、30日以内で働く派遣を総称して日雇い派遣といい、31日以上連続しての就労となる場合は日雇い派遣には該当しません。
「単発派遣」や「スポット派遣」と呼ばれることもあり、学生や主婦、フリーター、年配の方の登録も多く、派遣会社に登録して仕事を紹介してもらう仕組みとなっています。
他の派遣形態と同様に、給与は派遣先企業からではなく、派遣会社から支払われることとなります。
日雇い派遣は、企業の一時的なスタッフ補填に役立っています。
また、短期間の仕事である故、専門的な知識を必要としない仕事も多く、労働者としては雇用のハードルが低く働きやすい環境といえます。
日雇い派遣案件の探し方
では、日雇い派遣の仕事に就きたいと思った場合、どのように案件を探したらよいのでしょうか。
ネットで一から探してエントリーするのであれば、「日雇い派遣」や「単発」というワードと地域名を組み合わせ「日雇い派遣 東京」「派遣 単発 名古屋」などといった検索の仕方がおすすめです。
一方で、派遣会社に登録して「単発の仕事」という希望条件で相談する方法もあります。
この場合には例えば「大学が夏休みの間だけ日雇い派遣で働きたい」「いずれは長期派遣で働くつもりだけど、その前に日雇い派遣も経験したい」など個別の事情にも、より柔軟に対応してもらえるでしょう。
大手派遣会社の中では、リクルートスタッフィングやテンプスタッフが、単発の案件が多いと評判です。
日雇い派遣で働くメリット
日雇い派遣では、履歴書が不要であることが多く、一定の要件を満たせば誰でもすぐに登録が可能です。
紹介される仕事が未経験であっても、特別なスキルがなくても働くことができる仕事が多いことが最大のメリットです。
登録さえしておけば、自分のスケジュールに合わせて働くことができるので、急な休みや予定変更による空き時間に仕事をすることもできます。
また、短期間の派遣となりますので、さまざまな仕事を体験することができます。
そこでは、さまざまなスキル、年齢、属性の人達とのたくさんの出会いがあるので、自分の世界や交友関係を広げたいと思う人にとっては豊かなチャンスとなります。
逆に、コミュニケーションを取ることが苦手な人にとっても、日雇い派遣はある意味で気の楽な働き方です。
なぜなら仕事は短期間で終わり、終わればまた別の場所での仕事となるので、面倒な人間関係を構築する必要がないとも言えるからです。
給与は月払いはもちろん、日払いや週払いでの支払いが可能な場合が多く、生活に合わせて収入を得ることができます。
日雇い派遣はアルバイトと比較検討されることが多い勤務形態です。
特に「単発バイト」と日雇い派遣は、雇用主が就労先企業か派遣会社かなどの違いはあるものの、求人内容などは似通っています。
ただし給与は日雇い派遣の方が高い傾向にあり、仕事内容によって、また仕事を掛け持ちすることなどによって、高収入を目指すことも可能です。
日雇い派遣は原則禁止?!その理由とは?
メリットについて紹介しましたが、実は、日雇い派遣は平成24年に施行された改正労働者派遣法によって、原則禁止と定められています。
「原則」という通り、禁止でない事例が存在するわけですが、その点については後ほど詳しくご説明します。
この法改正では、30日以内の労働者派遣について、原則的に禁止となりました。
日雇い派遣という形態は、繁忙期の人員確保などに最適であると、企業からのニーズは高まる一方でしたが、反面、深刻な問題点もありました。
厚生労働省のサイトでは下記のように説明されています。
日雇派遣については、派遣会社・派遣先のそれぞれで雇用管理責任が果たされておらず、労働災害の発生の原因にもなっていたことから、雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止になりました。参考: https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/kaisei/02.html
また、勤務体制の不明確さなど、利用者が増えるにつれて劣悪な労働環境に置かれ、その自由な労働条件の日雇い派遣そのものが、いわゆるワーキングプアの温床となり得るとの指摘もあります。
このような理由から、改正労働者派遣法では日雇い派遣を原則禁止とすることで、派遣労働者の安全な労働環境の構築と、雇用の安定をめざしています。
ただし、改正労働者派遣法で原則禁止とされているのは、あくまでも日雇い派遣となり、直接雇用した場合の日雇就労を禁止しているわけではありません。
また、原則禁止とはいうものの、細かな規定については分かりづらい内容も多くなっています。
例えば、30日以内の労働者派遣が原則禁止とされていますが、派遣会社との契約が31日以上の場合においては、派遣先会社での派遣日数が30日以下であっても問題はありません。
ややこしい話ですが、契約期間が31日以上あることで、日雇い派遣に該当しないことになるのです。
したがって、31日間の間に、A社に10日、B社に10日、C社に11日という働き方は認められています。
一方で、31日以上の契約を結んで契約期間を終了した後、あと数日延長したいとなっても、30日以下での再契約は日雇い派遣の原則禁止に抵触することになります。
また、労働日数は「社会通念上、妥当と考えられること」が前提となり、極端に労働時間の短い場合には条件を満たしているとみなされません。
具体的には、おおむね週20時間以上働いていることが必要です。
これらのように、理解しづらい点は、各都道府県の労働局に確認することをおすすめします。
「日雇い派遣の禁止」に抜け道はある?
前述のとおり、法律では「原則」禁止とされ、この日雇い派遣の禁止には、抜け道というわけではありませんが、例外があります。
平成24年に施行された改正労働者派遣法では日雇い派遣のなかでも、一部の業務や人については例外として日雇い派遣を認めています。
禁止とならない例外事由について紹介していきましょう。
業務について
禁止とならない業務については特定のスキルが必要になる業務である、いわゆる専門業務としています。
専門性が高いために代わりがききにくく、不安定な雇用を避けられると考えられているのです。
日雇い派遣が認められているのは、下記18の業務です。
日雇い派遣が認められている業務
・機械設計
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・財務処理
・取引文書作成
・デモンストレーション
・添乗
・受付、案内
・研究開発
・事業の実施体制の企画、立案
・書籍などの製作、編修
・広告デザイン
・OAインストラクション
・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
人について
労働者についても、その属性によっては例外として日雇い派遣への従事が認められています。
日雇い派遣で働くことが認められるのは、次の要件のいずれかに当てはまる場合です。
要件
2. 昼間は学生である人(雇用保険の適用から外れるため)
3. 本業で500万円以上の収入がある人(日雇い派遣を副業とするケース)
4. 世帯収入が500万円以上ある家庭で、主な生計者ではない人
日雇い派遣が認められる人というのは、一言でいうと「日雇い派遣で収入が安定せずとも生活が困難になりにくい人」です。
世帯収入が高い人などは、日雇い派遣によって危惧されるワーキングプアなどの心配が少ないと考えられるため、例外となっているのです。
しかしこれでは、生活のために切実に仕事を求めている人ほど、日雇い派遣では働けないということになってしまいます。
この矛盾を解消するべく、日雇い派遣の解禁や制限の緩和なども含め、今後またルール改正が行われる可能性もあるので、注目したいところです。
なお、上記の要件を満たす人が日雇い派遣の仕事を希望する場合、その証明のために確認書類の提出を求められる場合があります。
例えば要件2(昼間学生)に該当するのならば学生証、要件3(年収500万円以上)であれば源泉徴収票の写しなどといった具合です。
「なぜ提出しなくてはならないの?」と思われるかもしれませんが、違法な就労でないことを証明するためのものですので、あらかじめ理解しておきましょう。
人気の日雇い派遣仕事3選
日雇い派遣の仕事には、特別なスキルや経験を必要としない案件が豊富にあります。
ここでは、人気の高い日雇い派遣の職種を3つご紹介します。
※「例外職種」に当てはまらない場合もあります。個別のお仕事を希望される場合には、必ず詳細を確認してください。
人気職種1:受付
セミナーやイベントの他、マンションのモデルルームなどでのお仕事もあります。
華やかなお仕事で、時給・日給の高い案件が多いのが特徴です。
訪れた人とコミュニケーションをとる場面が多くあるので、人と話すのが大好きという方にはピッタリではないでしょうか。
受付の仕事を探す
人気職種2:デモ販売
家電量販店での商品のデモンストレーション(実演販売)や、スーパーや百貨店で試食販売を案内するお仕事です。
仕事をしながら真っ先に新商品を体験できたり、身についた商品知識が自分の買い物などに役立つこともありそうです。
デモ販売の仕事を探す
人気職種3:データ入力
「オフィスでの仕事がいい」「黙々と仕事をしたい」という人に人気があるのがこの職種です。
最低限のPCスキルは必要となる可能性がありますが、その点さえクリアしていれば難しいことはないでしょう。
室内の快適な環境で働くことができ、服装自由という案件も多くあります。
データ入力の仕事を探す
実際に日雇い派遣と長期派遣を組み合わせて働いている人の体験談もあるので合わせて読んでみてください。
日雇い派遣は「その後」を考えることも大切
日雇い派遣は自由で融通の利く働き方ですが、あくまでも一時的、あるいは副業的なものとして捉えておく方が良いでしょう。
自分の収入で生活していくべき人であれば、長くても30日というお仕事でずっと働き続けるのは、やはり無理があるからです。
日雇い派遣で働くことには待遇面のデメリットもあります。
社会保険
所定労働時間など一定の条件を満たせば派遣社員でも加入することができますが、その前提として、契約期間が2ヶ月を超えていることが必要です。
日雇い派遣はそもそもの定義が「30日以内の仕事」ですので、社会保険の対象外となるのです。
有給
派遣社員の場合、同一の派遣会社で6ヶ月以上勤務し、8割以上出勤していることが有給取得の条件となります。
「同一の派遣会社」であって「同一の就業先」である必要はないため、1ヶ所で働く期間には関係がないことになりますが、とはいえ同じ派遣会社から次々と日雇い派遣の仕事をもらい続けることは、現実的には難しいでしょう。
これらのことを踏まえ、日雇い派遣の仕事を探す際は「その後どうするか」を考えながら動くことが大切です。
例えば、目の前に魅力的な日雇いの仕事があったとしても、その後に長期派遣で働きたいのなら、そちらのエントリーなどを優先した方が良い場合もあります。
まだ派遣会社への登録がない人は、まずは評判の良い派遣会社に登録して、担当者に中長期的なプランを相談してみてはいかがでしょうか。
日雇い派遣の魅力を活かして働こう!
日雇い派遣は登録が容易で働き方の自由度も高く、得られるメリットは少なくありませんが、雇用や収入が安定しにくいという点で原則禁止となっています。
もちろん法律に違反するわけにはいきませんので、日雇い派遣で働くことを検討する際には、自分のスキルや属性が禁止対象外となることを大前提としてください。
そしてまた、日雇い派遣で働くときは、同時に「その後の働き方」を考える必要があります。
「臨時で必要なお金を稼ぐための副業」「家族の扶養に入っていて、都合のつく時だけのお小遣い稼ぎで大丈夫」という人は問題ありませんが、そうでなければ、やはり長期派遣など、安定して良い待遇で働ける方法がおすすめです。
日雇い派遣は、普段と違う世界を体験し、自分の経験値を上げるチャンスでもあります。
その経験を活かし、今後のお仕事でのステップアップにつなげていきましょう。