目次
2024年12月 | 派遣会社 厳選3社
1. そもそも有料職業紹介事業とは
一般的に、有料職業紹介事業は「人材バンク」「人材紹介会社」「転職エージェント」などと呼ばれています。このサービスは、一定の手数料を受け取って、求人募集企業に求職者を紹介するものです。手数料が発生するため、「有料」と呼ばれており、マッチングに手数料が発生しない大学の就職課やハローワークなどは無料職業紹介事業となります。
手数料は求人募集をしている企業が支払います。企業が望む人材を紹介してもらったときに、その人材に支払う予定の年収の10~30%程度の金額を、手数料として有料職業紹介事業者に支払っています。基本的に、企業に紹介される求職者側は、手数料を支払う必要はありません。有料職業紹介事業が斡旋できる職種は多岐にわたりますが、著しく専門性が高いとみなされている港湾運送業と建設業務の2業種に関しては斡旋が禁じられています。そのため、これら2業種の仕事を希望している求職者は、有料職業紹介事業のサービスを利用できません。
2. 有料職業紹介事業の種類について
有料職業紹介事業は、求職者の状況や立場、企業の要望などによって、主に3種類に分けることができます。その3種類とは、登録型・スカウト型・アウトプレースメント型です。
「登録型」は最もポピュラーなスタイルで、転職を検討中の求職者にあらかじめ登録しておいてもらい、求人を募集する企業が現れたときに、その要求に応えられる人材を登録者の中から探して紹介するという形式です。「スカウト型」は、企業の求人内容に適した人材を事業者が探し出してスカウトするという形式です。この方法は、人材の潜在層を掘り起こすことができ、もともとは経営層のヘッドハンティングの際に使われていた手法ですが、エンジニアなどの専門家を紹介するときにも使われるようになっています。「アウトプレースメント型」とは、個人の求職者というよりはリストラなどで退職者を出す企業を対象に行われ、退職者の再就職を支援するという形式です。このタイプの場合、手数料は退職者を出した企業が負担し、紹介先の企業は支払う必要がありません。
3. 有料職業紹介事業を利用するときの流れ
一般的な登録型の有料職業紹介事業を利用するときの流れを説明します。まず、求職者がウェブサイトなどから有料職業紹介事業者に登録します。次に、希望の職種や条件などについて、コンサルタントと面談を行います。面談の情報をもとに、コンサルタントが希望に合う企業を求職者に紹介します。求職者が紹介された企業を気に入れば、履歴書などを揃えて応募します。その後、通常の転職活動と同じように、応募した企業による書類選考と面接が行われます。選考の結果、採用され、入社する意思がある場合は雇用契約を結びます。雇用契約が結ばれたら、企業から有料職業紹介事業者に対して手数料が支払われ、サービスが終了となります。
4. 有料職業紹介事業と人材派遣業は異なるサービス
これまで説明してきた有料職業紹介事業を営んでいる会社は増えており、広告などでもよく見かけるようになってきました。そのため、人材斡旋業のすべてが有料職業紹介事業と思っている人もいるようです。しかし、有料職業紹介事業と人材派遣業は、似ている部分もありますが、実は同じサービスではありません。ここからは、それぞれの違いや特徴について解説していきます。
有料職業紹介事業と人材派遣業の違い
有料職業紹介事業と人材派遣業の間の大きな違いは、事業者が求職者と雇用契約を結ぶかどうかという点です。有料職業紹介事業では、事業者が企業と求職者の間に立ってマッチングを行うものの、事業者は企業から手数料を受け取るだけで、求職者の最終的な雇用主は紹介先の企業となります。人材派遣業では、実際に働くのは派遣先の企業ですが、雇用契約を結ぶ相手は派遣会社となります。つまり、有料職業紹介事業では事業者は求職者と雇用契約を結びませんが、人材派遣業では結ぶという違いがあります。
有料職業紹介事業のメリット・デメリット
違いが分かったところで、有料職業紹介事業を利用するメリットとデメリットについて説明します。
メリットとなるのは、企業からの直接雇用なので、正社員あるいは契約社員として働ける見込みがあるということです。また、「クローズ案件」という、企業が有料職業紹介事業者だけに公開している案件があります。これは一般の求人広告では見つけることができないものです。有料職業紹介事業を利用すると、競争相手があまりいない、そのような案件を紹介してもらえる可能性もあります。ほかにも、自分と企業の相性が良いかどうかを転職活動のプロが判断してくれます。さらに、面接や履歴書の書き方などについて、コンサルタントからアドバイスがもらえる場合もあります。
デメリットとしては、直接雇用のため、入社した後で希望していた内容とのギャップが判明しても辞めづらいことや、希望する条件に合う企業が求人を募集していない場合は、見つかるまで待たなければいけないことが挙げられます。
人材派遣業のメリット・デメリット
では次に、人材派遣業のメリットとデメリットを説明します。
メリットとして挙げられるのは、登録型派遣の場合、求職活動によくある採用選考や面接を受ける必要がないことです。派遣会社に登録するだけでいいので、精神的ストレスがありません。また、実際に働き始めた後、派遣先の企業で何かトラブルが発生したときは、派遣会社からのサポートを受けられます。ほかにも、企業に直接雇用される正社員のような雇用形態ではないので、より自由な働き方を実現できます。さらに、派遣会社によっては、セミナーや講義を実施しているところがあり、受講することで継続的にスキルアップを図ることも可能です。
デメリットとしては、正規雇用ではないため、正社員よりも安定性・将来性には劣る部分があること、登録型派遣では企業の都合によって突然雇用が終了してしまう場合もあることなどが挙げられます。
5. 派遣には無期雇用という選択肢もある
さきほど挙げた、派遣では突然雇用が終了してしまう場合があるというデメリットは、求職者にとっては死活問題であり、精神的ストレスを与えます。しかし、2013年の労働契約法改正や2015年の派遣法改正によって、無期雇用派遣という働き方が生まれ、その働き方に注目が集まっています。
従来の登録型派遣では、派遣先との契約が終了すると次の派遣先が決まるまで収入がない状態が続きます。しかし、無期雇用派遣では、派遣会社と無期限の雇用契約を締結するため、派遣先が決まらない時期があっても、毎月給与が支払われるようになります。つまり、月給制になるということです。これは、派遣社員として働く人に大きな安心感を与えます。通算契約期間が5年を超えれば、誰でも無期雇用への転換を申し込むことができます。無期雇用派遣を利用すると、正社員のような賞与制度や昇給制度があること、ひとつの派遣先企業で長期間働くことができ、キャリアアップを見込むことができるというメリットもあります。
有料職業紹介事業と人材派遣業の違いを理解しておこう
有料職業紹介事業と人材派遣業の間には雇用主の点で違いがあります。有料職業紹介事業を利用すると、紹介先に直接雇用されます。人材派遣業では、派遣会社との間で雇用契約を結びます。以前は、雇用に関して不安要素もありましたが、働き方改革で無期雇用派遣という雇用形態も選べるようになりました。いま新しい仕事を探しているなら、安定して長期間働き続けられる、メリットの多い無期雇用派遣を目指すのも一つの方法です。