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特定派遣廃止がIT業界に与える影響とは?今後の見通しも解説

特定派遣廃止がIT業界に与える影響とは?今後の見通しも解説

「特定派遣」という言葉を聞いたことがありますか。「特定派遣」は平成27年の派遣法改正により廃止となった派遣システムです。これまで技術者などIT業界を支えてきましたが、廃止となったことで業界や労働者にどのような影響があるのでしょう。今回はこの「特定派遣廃止」について、IT業界に与える影響と今後の見通しについて解説していきます。

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目次

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1. 特定派遣とは?

特定派遣とは、派遣元に常時雇用された社員を他社に派遣する雇用形態のことをいいます。かつて特定派遣は一般派遣と異なり、社員を雇用し、案件ごとに自社の社員をクライアント先に派遣するというシステムでした。この雇用形態には「派遣社員」と「正社員」、両方の立場から派遣元と契約しているため、仮に派遣先との契約が終了しても、職を失うことがないというメリットがありました。つまり、もし派遣先と契約が終了しても派遣元との雇用契約は維持されていたのです。

特定派遣をおこなうには、派遣法16条にのっとった、厚生労働省への届け出が必要でした。しかしこの届け出はあくまでも「届け出」のみが必要で、一般労働者派遣事業のような「許可」は必要ないという特徴がありました。また、特定派遣では技術者など専門的なスキルを持つ人を派遣する事業者が多く、派遣先として対応していた企業や業種のジャンルは狭い傾向にありました。

既に廃止された特定派遣に多い26業種

前述したとおり、平成27年の法改正で特定派遣は廃止されました。これまでは、特定派遣に多かった「26業種」という業種の区分があり、「ソフトウェア開発」や「アナウンサー」など専門性の高い業種がこの業種に含まれていました。そのほかにも専門性の高い業種として区分されるものは、具体的に以下の業務が該当します。

①ソフトウェア開発
②機械設計
③放送機器等操作
④放送番組等演出
⑤事務用機器操作
⑥通訳・翻訳・速記
⑦秘書
⑧ファイリング
⑨調査
⑩財務処理
⑪取引文書作成
⑫デモンストレーション
⑬添乗
⑭建築物清掃
⑮建築設備運転・点検・整備
⑯案内・受付・駐車場管理等
⑰研究開発
⑱事業の実施体制等の企画・立案
⑲書籍等の制作・編集
⑳広告デザイン
㉑インテリアコーディネーター
㉒アナウンサー
㉓OAインストラクション
㉔テレマーケティングの営業
㉕セールスエンジニアリングの営業
㉖放送番組等における大道具・小道具

26業種に区分される業種には、特定派遣としてのさまざまな特例がありました。たとえば一般的に同一業務に継続して3年間、派遣労働者を雇い入れる場合、直接雇用の申し込みをしなければならないというルールがありました。しかし26業種に該当する場合は例外で、3年の制限無く扱われるということが許されていました。時代の流れにともない、このような業種による区別や例外扱いはそぐわなくなってきたため、なくなりました。

一般派遣と特定派遣の違い

26業種以外に、一般派遣と特定派遣にはどのような違いがあるのでしょうか。平成27年の法改正までは、一般派遣と特定派遣という区別が存在しました。一般派遣は登録型派遣とも呼ばれ、派遣先が確定した段階で派遣元と雇用関係を結びます。したがって、この派遣スタイルは派遣契約が終了した段階で次の派遣先が決まっていなければ、雇用契約もいったん終了することになります。また、健康保険や厚生年金保険にブランクができたり有給がたまらなかったりするというデメリットがあります。

前述したとおり、特定派遣は厚生労働省への「届け出」が必要だったのに対し、一般派遣事業を行うためには「許可」が必要でした。特定派遣は常用型派遣と同様に、別の仕事場で働く派遣元の正社員という位置づけだったのです。

2. 特定派遣の問題点

一見すると企業側と労働者側にとって都合の良い特定派遣ですが、いくつか問題点があることに留意する必要があります。今回は2つのデメリットについてみていきます。

労働者のリスクが大きい

労働者にとって特定派遣は一般派遣に比べると安定しているようですが、実はさまざまなリスクがあります。

企業に振り回される

特定派遣は主にエンジニアなどの技術職に対して使われており、企業の都合に振り回されることが多いという問題があります。企業の取り決めたことに対して、簡単に業務の方向性が変わることがあり、エンジニアが右往左往することもあります。

長時間労働・安月給

派遣先と雇用会社が異なるため、現場である派遣先ではどうしても立場が下に見られがちです。それゆえ、長い時間働かなければ十分な評価を得られなかったり、満足のいく給与をもらえなかったりすることがあります。

雇用される年齢に制限がある

特にエンジニアの場合、業務の特性上、どうしても若年層を積極的に雇用しようとする特徴があります。プログラミングや新しいサービスの開発は年齢が若い方が吸収も早く、戦力として活躍しやすい傾向にあるからです。したがって、派遣でエンジニア職として働く場合、再雇用の際に年齢のハードルを感じることがあるかもしれません。人手不足といわれるエンジニア職ですが、30代後半になると途端に仕事が無くなることもあるのです。

労働環境が良くならない

特定派遣が雇用される職場は、その特性上、専門的で高い技術が必要であるハードな現場であることが少なくありません。したがって、正社員以上に業務をこなさなければならない場面もあることを覚悟しなければなりません。また、派遣先と雇用会社が異なるので、労働環境の改善などに踏み込むことが難しく、労働者が思ってもみないような劣悪な現場であったとしても、なかなか改善されにくいという問題があります。労働者にとって「特定派遣」は名ばかりで、派遣のような比較的自由な働きかたができず、労働環境がよくないことも多いのです。

3. 特定派遣の廃止

平成27年の派遣法改正により、特定派遣は廃止となりました。派遣法が廃止されたことにより、どのような影響が懸念されるのかみていきます。

一般派遣と特定派遣の区別がなくなる

特定派遣の廃止に伴い、一般派遣と特定派遣の区別がなくなりました。これまでこれら2種類に分かれていた派遣労働者の形態を廃止し、「労働者派遣事業」という名称に一本化したためです。この形態の統合により、全ての派遣事業は許可制になりました。また、一本化後もほぼ全てのルールが一般労働者派遣事業で用いられていたものを適用することになります。つまりこれは、特定派遣としての常時雇用がなくなるということも意味しているのです。

正社員化を促進する

特定派遣の廃止にともない、正社員化が促進されるといわれています。そもそも政府が特定派遣の制度を廃止したことには、派遣社員の正社員化を促進する狙いがあったからです。派遣の雇用形態が一般派遣に一本化されたことにより、一般的な派遣は派遣期間が最大3年とされ、それ以上の場合には正社員として雇用する決まりとなりました。これにより、3年以上同じ職場や部署に派遣社員がとどまることができなくなり、正社員としての雇用が促されることになりました。この新しいシステムは、派遣として働く人にとってはよい改正といえますが、これまで特定派遣に頼っていた業界にとっては厳しいルールとなることが予想されます。

特定派遣廃止の経過措置

特定派遣廃止は平成27年9月30日施行の労働者派遣法によってルール化されました。それにともない特定派遣事業を行う事業者は、3年後の平成30年9月30日までは、経過措置として引き続き特定派遣事業を営むことが可能となりました。ただし、平成30年9月30日以降も続けるには新たな許可が必要で、申請から許可が下りるまで数カ月かかることもあるため、早めの対策が必要であることに注意が必要です。

4. 特定派遣廃止によるIT業界への影響

26業種のなかでもとりわけIT業界は、特定派遣が廃止されることによって大きな影響を被るといわれています。具体的にはどのような変化や問題が生じることが考えられるのでしょうか。

経営存続できない企業が出てくる可能性

特定派遣のシステムが廃止されることによって、経営存続が危ぶまれる企業がでてくる可能性があります。なぜなら、派遣元として新たに許可を得るためには、資産条件、雇用管理体制、キャリア形成支援制度などを満たさなくてはならないからです。このような制度の変化には、多くのコストや手間がかかります。したがって、大企業であれば対応できるような制度の改正も、中小のIT企業にとっては大きな変化を求められるのです。とりわけ、中小企業は特定派遣に人材を頼っているケースが多いため、派遣を雇うことが難しくなる可能性もあるといえるでしょう。

SES契約が主流になる

 SES契約とは、システムエンジニアリング契約の略称で、エンジニアを雇用する時間に対して報酬を支払う形態のことをいいます。準委任契約とも呼ばれるもので、業務委託のような形態でありながら、成果物ではなく時間に対して報酬が発生する仕組みのことです。ここでポイントなのは、SES契約の場合、指揮命令権がどこにあるのか明確にしにくかったり、二重派遣となったりする恐れがあるということです。特定派遣が廃止されることにより、これからはSES契約が主流になるといわれていますが、実はこのような多くの問題が潜んでいるのです。IT業界ではこれまでもSES契約の業務形態が存在していましたが、特定派遣の廃止により、この契約がますます増えるのではないかと考えられています。特定派遣が廃止された後も、このSES契約の形態をうまく活用しながら、スキルをもった人材を扱う企業が多くなっていくでしょう。

偽装請負の横行

偽装請負とは、労働者派遣や労働者供給をおこなっている実態があるにもかかわらず、業務処理請負や業務処理委託などの名称を用いることで請負契約を偽装することです。本来発注者である派遣先が業務に関する指揮や命令できるのは派遣に対してですが、SES契約に対しても指揮や命令をおこない、事実上派遣と同じような扱いをしていることを指します。これまでもIT業界では、偽装請負が問題となっていましたが、特定派遣の廃止により、ますますこの違反が横行する危険性があります。このような問題が黙認されることになれば、労働者を守るどころか、実体とは違った形態で働く人が増えることになりかねません。

5. 派遣社員を考えるときのポイント

最後に、派遣社員として働くときのポイントを2つ紹介します。

契約や雇用形態はよく確認しよう

今回紹介したように、時代の流れとともに派遣を取り巻くルールは目まぐるしく変化しています。しかし、IT企業のように、雇用のルールが変更されることで打撃を受ける会社のなかには、偽装請負などの問題を抱えるところもあり、注意が必要です。このような偽装をおこなう企業は細かい言葉の使い分けやニュアンスで違反を隠蔽する傾向にあるので、違法性を容易に発見することができません。したがって派遣社員として働く際には、契約や雇用形態を契約前によく確認するようにし、分からない点は派遣元や雇用先に問い合わせるようにしましょう。本当に誠実に労働者のことを考えている企業であれば、このような質問に対しても嫌がるような態度をみせることなく、真剣に対応してくれるはずです。

会社が変わらなければ転職を考えよう

特定派遣廃止にともない、IT業界を始めとする一部の業界では働きかたの革新が求められています。長時間労働や賃金の未払いなど、労働環境にもいまだに多くの問題を抱えているといわざるを得ません。エンジニア職はとりわけ人材不足が深刻なので、実務経験のある人は会社で重宝される傾向にあります。しかし、このような比較的売り手市場といわれている業界であっても、労働者への待遇を優遇するどころか過重労働が改善される先ゆきはいまだに不透明です。

派遣という立場で会社に働きかた改革を訴えたり、労働環境の是正を促したりすることはなかなか難しいことでしょう。ですから、もし労働環境や会社の待遇がなかなか変わらないような場合には、思いきって転職を考えることも手です。特に30代前半までの若いエンジニア経験者であれば、自ら別の仕事を探すという道もあることを覚えておきましょう。人は得ることよりも、捨てることで前に進めることがあります。今の職場に不満があるのならば、それにとどまることは、もはや不満でいることを選ぶのと同じです。転職をすることは今までの経験を活かして、よりよい条件の職場で働くことができるチャンスでもあります。今後の雇用の動向をみながら自分の働きかたについても理解を深めていきましょう。

特定派遣廃止でIT業界の改善が期待される

平成30年9月をもって特定派遣廃止の経過措置が終わることで、打撃を受ける企業は多く存在します。特にIT企業は、業務の高い専門性が求められる反面、長時間労働や低賃金といった劣悪な労働環境の問題がありました。派遣制度の改正にともない、既存の派遣のあり方からの脱却と改善が求められています。これまで特定派遣に頼っていた労働環境を変えるときがきたのかもしれません。

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