目次
2024年12月 | 派遣会社 厳選3社
1. 年末調整とは?
年末調整ではどのような手続きがされているのでしょうか。年末調整は、1~12月までの1年間で支払われた給与や賞与から、所得税額の総額を再計算して調整するためのものです。会社から支払われている給与は、国に支払うべき所得税がすでに天引きされている状態です。天引きされた所得税は、会社が一旦預かり1年分をまとめて国へ納める仕組みになっています。この時点で天引きされている所得税は概算となるため、実際に1年働いてみると、給与額の増減や家族構成の変化、転職などによって過不足が生じます。所得税額を再計算して、この過不足を調整するのが年末調整です。
2. 年末調整は自分でできる?
所得税額の過不足や、最終的な所得税額を決定するために、従業員は年末に簡単な書類を会社に提出します。ここで提出する書類の内容で支払う税金の額が決定するのです。これまでは、給与明細に書かれた額を眺めていただけかもしれませんが、自分が支払う税金を意識して、1年間天引きされていた自分の正確な所得税額を自分で算出したいと考える人や、退職や転職などの事情によって、自分で年末調整をすることが必要だと考えている人もいるかもしれません。年末調整は自分で手続きできるものなのかという疑問を持つ人もいるでしょう。ここでは、年末調整を自分でできるのかについて説明します。
年末調整は自分で手続きできるのか
年末調整では、会社が1年間天引きしてきた所得税を再計算する手続きです。会社が従業員の代わりに手続きすることになっているため、個人で行うことはできません。年末調整という手続きは、従業員の税金を雇用主が申告する仕組みなのです。ただし、年末調整を受けないケースでは、自分で確定申告をする必要がある場合もあります。また、控除対象となるものがある場合は、自分から書類などを会社に提出する必要があるので注意が必要です。控除というのは、課税される所得税額が安くなる制度です。それぞれの状況や事情によって異なります。
年末調整で自分から提出する必要があるもの
年末調整ではさまざまな控除も踏まえて所得税を計算するため、控除対象となるものがあれば会社に知らせておく必要があるのです。所得税の控除対象となり自分から書類を提出する必要があるものには、主に住宅ローン控除(初回だけは対象にならないため、2回目以降のみ)、生命保険料控除、地震保険料控除などがあります。
住宅ローン控除(正式には住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを組んで家を購入、リフォーム等をした場合に最長で10年受けられる控除です。この控除を受けるためには、1年目に確定申告をする必要があります。2年目以降は年末調整で控除を受けることが可能です。1年目の確定申告後に税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が残りの9年分、また、毎年10月ごろに住宅ローンを組んでいる金融機関から住宅ローンの「年末残高証明書」が届きます。「年末残高証明書」に基づいて、会社からもらう年末調整の用紙の住宅ローン控除申告書と「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」に記入し、会社に年末調整の用紙を提出する際に、「年末残高証明書」を提示または添付します。
生命保険料控除、地震保険料控除については保険会社から届く「控除証明書」に基づいて、会社からもらう年末調整の用紙の申告書に記入し、「控除証明書」は提示または添付しましょう。金融機関から送られてくる「年末残高証明書」や保険会社から送られてくる「控除証明書」は、金融機関や保険会社によって異なり、はがきや封書で郵送されてくるので、他の郵便物に紛れてなくさないように注意が必要です。年末調整で必要な書類だということを留意しておきましょう。
3. 確定申告とは?
年末調整に併せて知っておきたい確定申告とはどういうものなのでしょう。確定申告は、1年間の所得金額を算出し、それに対して正しい所得税額を計算して税金を支払う手続きのことです。また、確定申告によって、納めすぎた税金が返ってくることもあります。年末調整と違い、個人で手続きをする必要があります。年末調整を行う時期が文字通り年末であるのに対して、確定申告の申請時期は翌年の2月中旬からです。年末調整は給与から天引きされていた所得税の過不足を調整するもので、年末調整をしている会社員であれば、基本的に確定申告は必要ありません。次項では、例外について詳しく説明します。
4. 年末調整をしていても確定申告が必要なケース
年末調整をしていても、自分で確定申告をする必要があるケースは次のような場合です。1つ目は、副業などで2カ所以上の会社からの給与収入があり、年末調整されない会社からの収入が20万円以上となる場合です。2つ目は、不動産所得やブログの広告収入などにおける副業の所得が20万円以上となる場合です。この場合の所得とは、経費を除いた額になるので、売上金額が20万円以上でも、経費を差し引いて20万円未満なら確定申告をする必要はありません。この2つのケースでは、副業の収入についての年末調整を行っていないので、自分で税金を納めなければなりません。このような場合、確定申告を行うことで所得税額を算出し、税金を支払うことが必要となります。
また、初めて住宅ローン控除を受ける年や、医療費が10万円を超えて医療費控除を受けられる場合、ふるさと納税などの寄付金控除(条件によっては年末調整で控除申請が可能)が適用されるケースでは、確定申告をすると納めすぎた税金が返ってくることになり、節税対策に効果的です。さらに、年末近くになって転職をして、年末調整のための源泉徴収票の提出が間に合わないという場合や、年内に退職して再就職していないという場合、新たに生命保険などに加入した場合なども、確定申告が必要です。また、会社員であっても、給与における収入が2000万円を超える場合は、年末調整の対象からは外れるので確定申告が必要となります。
5. 確定申告に必要なもの
ここでは、確定申告に必要なものを紹介します。まずは、確定申告書です。国税庁のホームページから印刷できます。次に、給与収入を得ているすべての会社からの源泉徴収票(原本)や控除を受けるための領収書や契約書、証明書などです。これらの金額に基づいて控除額が決定します。さらに、銀行の通帳やキャッシュカードと届け出印が必要です。提出方法は税務署に郵送、直接税務署に提出、電子申請システムe-Taxを使用してオンラインで完結させる方法があります。期限内に確定申告を行わず、所得税を支払わなかった場合、無申告加算税という罰則があります。確定申告による納税が必要な場合は、早めに準備をすることが必要です。
必要な手続きを見極めよう!
年末調整は自分で行うことはできないものの、控除申請を行って、払いすぎた税金が返ってくる場合や、確定申告をする必要がある場合があります。医療費控除や寄付金控除などの対象に当てはまるかどうか、副業の収入は確定申告が必要かどうかなどは自分で把握しておかなければなりません。自分の状況を見直して、必要な手続きを考えてみましょう。