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2024年12月 | 派遣会社 厳選3社
二重派遣とは?
派遣形態において違法とされる二重派遣のリスクや回避策を理解するためには、まず、どのような状態が二重派遣に該当するのかについて、詳しく把握しておく必要があります。
ここでは、二重派遣の状態について説明します。
二重派遣の概要
通常の労働者派遣では、派遣元である派遣会社と雇用関係がある派遣労働者が、派遣契約に基づいて実際の勤務先である派遣先の会社に行き、仕事をすることになります。
一方、二重派遣とは、派遣労働者を受け入れた派遣先会社が、自社の業務に就労させることなく、別の会社に派遣して就労させる行為のことです。
派遣された派遣社員をさらに派遣する形態であるため、二重派遣と呼ばれます。
そもそも派遣先会社に派遣される労働者は、派遣先会社の業務を遂行するための人材です。
その派遣労働者を別の会社に二重に派遣することは中間搾取にあたります。
なぜなら、二重派遣した会社が派遣の手数料を受け取ることになるからです。
中間搾取は、その分、派遣労働者の収入が減ることになるため、労働基準法で禁止されています。
二重派遣は、この労働基準法に加え、職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)で明確に禁止されている労働形態です。
二重派遣が明るみになった場合、1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金といった、厳しい罰則の対象にもなっています。
法人だけでなく経営者なども処罰され、また、二重派遣を行った派遣先会社と受け入れた会社の両方が罰則の対象です。
二重派遣となるケース
二重派遣となる具体的なケースについても理解しておきましょう。
具体事例を知ることで、より二重派遣の理解を深めることが可能です。
主なケースは2つあります。
派遣先からさらに別の会社へ派遣
1つは<派遣先からさらに別の会社に派遣される>というケースで、典型的な二重派遣の形態です。
派遣という労働形態では、派遣元会社と派遣労働者とで雇用関係が成立していることが必要です。
その関係が成立していることによって、派遣元会社は手数料を得ることが許されています。
しかし、二重派遣では、派遣先会社と派遣された労働者に雇用関係がない状態で再派遣が行われることになります。
雇用関係がない派遣は認められないため、違法です。
偽装請負
もう1つは<偽装請負>と呼ばれるケースです。
偽装請負とは、請負と見せかけて実質的な二重派遣を行うことを指し、二重派遣の抜け道となっていると指摘されるものです。
派遣先に派遣された労働者は、通常は派遣先から仕事の指示を受けます。
しかし、偽装請負のケースでは、派遣労働者は派遣先会社(A)と業務請負契約がある別の会社(B)の業務を行い、その別の会社(B)から作業指示を受ける形です。
業務請負契約では、業務を請け負う側の会社が、労働者に対して作業の指示を行うことになります。
しかし、派遣労働者は、派遣先会社からの指示を受けて仕事を行うことになっているため、それ以外の会社から指示を受けて仕事をすることは禁止されています。
請負業務を行う労働者が複数いる職場で、派遣会社から派遣された労働者がその一員とされるというのが、偽装請負のありがちなケースです。
二重派遣にならないケース
二重派遣に似た形態であっても、二重派遣にならないケースもあります。
派遣労働者を受け入れる会社は、二重派遣の回避方法として、この例外を知っておくことが必須となりますが、派遣として働く労働者の側でも、内容について理解しておくべきでしょう。
偽装請負は実質的な二重派遣に該当するため禁止されていますが、請負契約をしている派遣先会社が、その請負業務に派遣労働者を従事させても二重派遣に該当しないケースがあるのです。
二重派遣に該当するかしないかを分けるポイントは、誰が派遣労働者に対して作業指示をしているかという点です。
派遣労働者が派遣先会社の業務を行うにあたって、重要な決まりは、派遣先会社の人が派遣労働者に対して指揮命令を行うということです。
これが守られていれば、仮に第三者のもとで働く場合でも、二重派遣には該当しません。
たとえば、派遣労働者を管理する立場である派遣先(A)の社員が、派遣労働者が勤務する現場(B)に出向や客先常駐をして指揮をとれば、二重派遣とはみなされないのです。
派遣先会社と派遣元会社の間では、労働者派遣法にしたがい、派遣労働者の指揮命令者は派遣先会社の人間であることが定められています。
その状態を守り、派遣先会社が作業指示をしているのであれば、請負契約に関する業務に派遣労働者が従事していたとしても偽装請負とは違い、二重派遣の定義に該当しません。
IT系の職種は二重派遣に要注意
二重派遣はあらゆる職場・職種で起こりうる問題ですが、中でもIT系の職種では発生する率が高くなっています。
この背景として、IT系の仕事は工程数が多く、それぞれにおいて必要となる人数や専門性が異なるため、委託(下請け)・再委託といった多重構造が当たり前になっていることが挙げられます。
必然的に、派遣や業務委託、準委任契約(チーム単位での請負契約)といった形態が多くなり、そこにまぎれる形で二重派遣や、さらにひどい多重派遣が横行しているのです。
▼派遣と請負の違いについては、こちらの記事もご覧ください。
二重派遣におけるリスク
二重派遣は法令で禁止されています。
派遣先会社で二重派遣が行われていないかどうかについては、派遣会社がしっかりと把握しておくべきであることが大前提ですが、派遣労働者の側でも、どのような状態が違法な二重派遣に該当するのかを理解しておきましょう。
また、この二重派遣の禁止に反した場合に、どのようなリスクやデメリットが生じるのかを知っておくことも、トラブルに巻き込まれないようにするためには有効でしょう。
二重派遣状態になった場合の主なリスクは、4つ考えられます。
働く環境の悪化
1つ目は、派遣労働者が実際に働く環境が、本来の契約で定められたものよりも悪化する可能性があることです。
本来の派遣先として紹介された会社は、自分の希望する条件をもとに派遣会社を介して探し、納得の上で就業を決めていることでしょう。
しかし二重派遣では、本人の意向を顧みず会社同士のやり取りのみで就業を決定されるため、希望とかけ離れた労働環境になることが危惧されるのです。
収入の減少
2つ目は、派遣労働者の収入が減らされてしまう可能性があることです。
先にもご説明した通り、二重派遣では手数料が2回発生し(中間搾取の発生)、その分、派遣労働者の収入が減ることになってしまいます。
これが多重派遣となれば、言うまでもなく、さらに派遣労働者の取り分は少なくなります。
責任の所在が不明確
3つ目は、万が一労働災害が発生した場合に、責任の所在が不明確になることです。
そもそも違法状態での就労ということになるため、労災の補償に関して、二重派遣されている先ともともとの派遣先、そして派遣元会社の間でトラブルが発生することが予想されます。
罰則の対象になる
4つ目は、二重派遣が明るみになった場合、罰則の対象になるということです。
これはリスクというより、犯罪行為の結果として当然のことでしょう。
処罰の対象はあくまでも二重派遣を行った会社と受け入れた会社であり、派遣労働者自身に及ぶわけではありません。
とはいえ、就業している会社が刑事罰を受けるとなれば、やはり派遣労働者の仕事にも何らかの影響は出るものと考えられます。
二重派遣を回避する方法
二重派遣状態を回避する対策としては、派遣会社が、労働者の働いている環境をこまめにチェックすることが基本となります。
定期的に派遣先での労働環境を把握しておけば、誰が指示命令を行っているかがわかりますし、途中で第三者による指示が行われる状態になっても、すぐに対処が可能です。
さらに、派遣会社が、派遣先会社との派遣契約内容を厳格化する方法もあります。
二重派遣の回避につながるような条項を追加して入れていくことにより、二重派遣状態の発生を未然に防げるようになるでしょう。
このように、二重派遣が行われないためには、派遣会社の体制が重要になります。
派遣労働者としては、所属している派遣会社が適切な管理を行っているかを、日ごろからしっかりと見ておくようにしましょう。
質問や要望への対応などからも、派遣会社の姿勢は見て取ることができます。
また往々にして、こういった管理体制は大手の派遣会社ほど整備されています。
すべてがそうではありませんが、中小規模の派遣会社では現状を維持することに手一杯で、派遣労働者の労働環境改善などに積極的に取り組む余裕はなかなかありません。
派遣会社に登録する場合には、大手の中から評判の良い会社を探すことをおすすめします。
二重派遣に気が付いた時の相談先
ではもしも、自分の就業状況が二重派遣にあたっていたり、その疑いがあると気が付いた場合、どこに相談したらよいでしょうか。
第一に報告・相談するべき先は、やはり派遣会社となります。
多くの場合、派遣会社からの働きかけによって、問題点は改善されるようです。
しかしそれでも解決しなかった場合は、相談窓口への通報・告発をおすすめします。
労働トラブルを取り扱う機関としては、厚生労働省の管轄に「労働基準監督署」と「労働局」があります。
また、所属する派遣会社を管轄しているハローワークも相談先として挙げられます。
二重派遣の解決のため、実際にどの機関が動くことになるかは個々の状況にもよりますが、まずはどこかの窓口へ訴えることで、その先の道筋を示してもらえるでしょう。
二重派遣となるリスクを減らそう!
二重派遣は違法行為です。
そういった状態にならないためには、派遣会社が派遣先会社での労働環境をしっかり把握していることが不可欠です。
同時に、派遣労働者自身も、どのような状態が二重派遣に該当するのかを認識し、所属する派遣会社がどのような取り組みをしているかを知っておくことが重要になります。
万が一、自身の置かれている状況に二重派遣の可能性が疑われるようであれば、早めに派遣会社に相談するようにしましょう。
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