目次
2024年11月 | 派遣会社 厳選3社
1. 扶養内で配偶者が働く際に適用される配偶者控除
扶養の範囲内で配偶者が働く場合において、納税者本人が配偶者控除の適用を受ける条件を理解するためには、まず、配偶者控除とは何かを認識しておく必要があります。配偶者控除とは、扶養家族のうち配偶者が一定の条件を満たすことで適用を受けられるものです。所得税法上設けられている所得控除の一つで、納税者本人の所得が少なくなる効果があります。配偶者の年収が規定範囲内であれば、配偶者控除の適用を受けて総所得が圧縮されるのです。所得が少なくなることは、税負担軽減につながります。つまり、配偶者控除の適用を受けることは、節税にもつながるということです。
2. 扶養内で配偶者控除が適用される条件
納税者本人が配偶者控除の適用を受けるためは、いくつかの条件を満たす必要があります。その条件を理解せずに勘違いしていると、適用を受けられると思っていたものが受けられなくなり、税負担が増加することにもなりかねません。ここでは、配偶者控除の適用要件を紹介します。
納税者の合計所得が1,000万円以下
配偶者控除の適用を受けるためには、5つの条件を満たす必要があります。1つ目は、納税者本人の合計職が1,000万円以下というものです。合計所得は、基礎控除や配偶者控除などの所得控除を引く前の所得を合算したものだと理解しておけばよいでしょう。合計所得が1,000万円を超えると、配偶者の所得の大きさに関わらず、まったく適用を受けることができなくなるため注意が必要です。
この納税者の所得制限の条件は、2018年度から税制改正により導入された条件になります。「高所得に対して有利になりすぎないように」という目的で改正されたという背景があります。2017年までは本人の所得要件はありませんでした。制度が変わって新設された条件ですので、特に注意が必要な条件だといえるでしょう。
民間規定における配偶者である
2つ目の条件は、配偶者が民間規程による配偶者として認められる場合であることです。社会保険制度では、比較的広い範囲で配偶者と認定されますが、税法上の配偶者は適用条件が厳しくなっています。民間規程による配偶者は、内縁関係における配偶者や、事実婚の配偶者が対象範囲に入らないことになっている点に注意が必要です。民間規定で配偶者ではないとされる人は、税法上の配偶者控除の適用を受けることができません。
また、外国人について同様に民法の規定によって判断することができないケースがあり、法の適用に関する通則法の規定に則って判断することになります。日常生活において配偶者と同様の関係であったとしても、税法上は配偶者として認められないケースがあることを知っておきましょう。
納税者と生計を共にしている
3つ目は、適用対象となる配偶者が納税者本人と生計を共にしているかどうかです。いわゆる生計同一と呼ばれる条件で、生活しているなかで夫婦が同じ家計単位で暮らしていることが生計を共にしているということになります。そのため、必ずしも経済的に100%扶養されているということまでは求められず、配偶者が同じ家計に収入を入れている場合でも、家計が同じであれば生計同一です。また、仕事などの関係で同居していない状態であっても、生活費の送金などが行われていれば生計を共にしていると認定されます。生計同一と同居は混同しないようにしましょう。
事業専従者でない
4つ目の条件は、事業専従者ではないことです。納税者が個人事業主の場合は、配偶者をフルタイムで雇って家族従業員に対して給料を支払っている場合があります。そういったケースにおける家族従業員が、事業専従者です。この場合、個人事業主が青色申告か白色申告かは問いません。事業専従者になっている配偶者は、仮に所得要件などほかの条件を満たしていたとしても、配偶者控除の適用対象外です。配偶者控除は、自営業などの個人事業主でも適用を受けることはできます。しかし、配偶者を従業員として雇って事業専従者扱いにしている場合は、配偶者控除の適用がないことも条件の一つとして認識しておきましょう。
配偶者の所得が38万円以下
5つ目の条件は、適用対象となる配偶者の所得が38万円以下であることです。配偶者の年間合計所得金額が38万円以下の場合、2019年までであれば配偶者控除の適用条件を満たすことになります。ただし、税制改正により基礎控除が変わったことによって、38万円という金額も変わり、2020年からは48万円以下となることに注意が必要です。配偶者の所得が会社から支払われる給料だけだった場合については、年収103万円であれば給与所得控除によって給与所得及び合計所得金額38万円となります。つまり、配偶者が給与所得者の場合は、年収103万円以内であれば配偶者の所得に関する条件を満たせるということです。
3. 扶養内における配偶者控除の金額
扶養の範囲内における配偶者控除の金額は、一律ではありません。納税者の所得によって変化する仕組みになっています。納税者の所得金額によって、3段階に分かれていることがポイントです。具体的には、納税者の合計所得が900万円以下の場合、配偶者控除額は満額の38万円、老人控除対象配偶者については控除額48万円となります。また、納税者の合計所得が900万円超950万円以下の場合における配偶者控除額は26万円、老人控除対象配偶者は32万円の控除です。
さらに、納税者の合計所得が950万円超1,000万円以下の場合は13万円の控除、老人控除対象配偶者だと16万円の控除と段階的に控除額は少なくなります。老人控除対象配偶者とは、その年の12月31日おける年齢が70歳以上の人のことです。
4. 配偶者特別控除とは
配偶者特別控除とは、配偶者に38万円以上の所得があり配偶者控除の適用がされないときに、配偶者の所得金額に応じて適用を受けられる所得控除の一つです。そのため、配偶者控除と配偶者特別控除を同時に適用を受けることはありません。また、配偶者特別控除は仮に各納税者から見て一定の適用条件を満たしている場合でも、お互いに適用は受けられないことになっています。配偶者控除の適用は受けられなくても、配偶者特別控除の適用を受けられる可能性があるため、適用条件はしっかり確認しておくことが大切です。ここでは、配偶者特別控除の適用条件について解説します。
配偶者特別控除の適用条件
配偶者特別控除の適用条件は、6つあります。1つ目は、控除を受ける納税者本人の所得が1,000万円以下であることです。2つ目は、民間規定による配偶者に該当すること、3つ目は納税者と生計を共にしていること、さらに4つ目は事業専従者ではないことが条件になります。これらは配偶者控除の条件と同じです。5つ目は、年間合計所得金額が38万円超123万円以下であることです。最後の6つ目は、配偶者が配偶者特別控除の適用を受けていないことが条件になります。
配偶者特別控除の金額
配偶者特別控除の控除額は、納税者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額によって変わります。控除額の幅は、1万~38万円であり、所得の大きさによって控除額が決まる仕組みです。2020年からは、年間の合計所得金額が48万円超133万円以下に変わるため、それに伴い、前年と同じ所得だったとしても適用を受ける控除額が変化する可能性があることは押さえておきましょう。
配偶者控除の条件を踏まえて働こう
配偶者が働いて収入を得ていたとしても、税法における配偶者控除の適用条件を満たしていれば問題ありません。しかし、所得が条件を少しでも超えると配偶者控除の適用は受けられなくなることに注意が必要です。特に、超える金額が数万円程度の場合は、納税額の増加を収入増でカバーできなくなり損をするケースもあります。配偶者控除の適用条件をしっかり確認したうえで、就業時間など働き方を決めるようにしましょう。