目次
2024年11月 | 派遣会社 厳選3社
1. 派遣でも面接はおこなうものなの?
そもそも、派遣社員にも採用面接は行われているのでしょうか。以下、派遣社員が採用前に経験することの多いプロセスを紹介します。
働く前におこなうのは「顔合わせ」
一般的に、派遣業界で「面接」と呼ばれている機会は、正確に呼ぶと「顔合わせ」です。派遣先で事前に派遣社員を面接することは禁止されているからです。ただし、企業からすればなんの情報もないまま社員を受け入れるのは危険だといえます。そのため、面接にかわって顔合わせがセッティングされています。顔合わせでは、基本的に派遣会社の担当者が派遣社員を派遣先企業にまで連れて行きます。そして、担当者同席のもと派遣社員と企業の面談が始まるのが一般的です。
面談の間、派遣元企業の担当者は、派遣社員の応答についてフォローをしてくれます。契約についてわからない部分も、派遣元企業が対応してくれるので安心です。そして、面談終了後に双方が改めて「働きたいか」「雇いたいか」を考えます。双方が同意した場合、契約成立となります。
派遣の顔合わせの目的
顔合わせにはさまざまな目的が含まれています。もっとも大きいのは「派遣社員が仕事をするかどうか決めさせるため」です。顔合わせによって派遣社員は、現場の率直な意見を聞くことができます。また、職場見学の意味合いもあるので、派遣社員は現場の雰囲気を感じて決断の参考にできます。なお、前提として顔合わせは面接とは別のものです。面接であれば、内容次第で派遣社員の受け入れ可否が決まってしまいます。しかし、顔合わせはあくまでも円満に派遣社員を受け入れるための時間なので、派遣先企業はそこで相手を拒絶してはいけません。
ただし、実際問題として、顔合わせは面接の様相を呈しているケースが多いのは事実です。派遣社員が働くつもりになっていても、顔合わせで受けた印象によって派遣先企業が契約を断ってくることも珍しくありません。そのため、顔合わせ名義とはいえ、面接と同じくらいの緊張感を持って当日にそなえましょう。ちなみに、派遣の顔合せでは、相手を特定できるような質問をできない決まりです。派遣先企業は派遣社員に対し、個人情報やプライベートについて聞けません。もしもそのような質問が飛んできても、派遣社員は回答を拒否できます。
2. 派遣の面接でよくある質問
顔合わせが事実上、採用の可否を決める機会であるからには、派遣社員はその時間を面接と同じだと認識しておきましょう。よくある質問を押さえておけば、派遣先企業にいい印象を与えやすくなります。
自己紹介
派遣される予定の会社から、「自己紹介」を求められるのは面接の定番です。もちろん、派遣先企業には前もって派遣社員のスキルシートは配布されています。スキルシートに目を通せば、ある程度の経験や能力、資格などは把握できます。それでも、人間性やコミュニケーション能力などはわからないので、自己紹介をどれだけしっかりできるかは注目されるのです。
ただし、自己紹介で氏名を告げるべきかどうかは迷ってしまう部分でしょう。なぜなら、スキルシートには氏名や住所といった個人情報までは記載されていないからです。個人情報を隠したい事情があるなら、無理をして名前を告げる必要はありません。それでも、ビジネスマナーとして自己紹介では名乗ったほうが好感を抱かれやすくなります。もしも名乗らないときでも、経歴やスキルは詳しく話しましょう。派遣先との関連が強い部分をアピールすることで、評価は高まります。
なお、自己紹介は無意味に長引かせるのは厳禁です。逆にわかりにくくなるうえ、派遣先企業に協調性がないとの印象を与えてしまうからです。自己紹介は量で押し切るのではなく、シンプルに質をこだわりましょう。
スキル
派遣の面接では「スキル」についての質問も飛んできます。なぜなら、派遣先企業の手元にはスキルシートが渡っているため、その内容をさらに掘り下げたいと思われているからです。「あなたは弊社でどのような仕事ができますか」「あなたの持っている資格や免許を詳しく説明してください」といった質問は高確率で投げかけられると考えていいでしょう。もしも派遣先で生かせる資格やスキルがあるならストレートに答えることが重要です。スキルは取得するタイプのものでなくても、仕事に役立つものなら答えてかまいません。
たとえば、事務職なら、パソコンスキルやタイピングの速度などは絶好のアピールポイントです。事務処理を円滑に行うため、パソコンの知識や素早いタイピングは欠かせません。このように、職種に合ったスキルを説明できるようにしておくのもコツです。そして、電話対応や顧客対応など、基本的なビジネススキルも強調しておきましょう。即戦力が求められる派遣社員は、社会人として最低限のマナーが身についていることが採用される条件となりやすいからです。
職歴
できれば経験が豊富な人材を迎えたいと思っている企業は多いので、「職歴」もよく出てくる質問です。そうとはいえ、嘘をついてまで職歴をアピールすると派遣先でトラブルにつながる恐れもあります。職歴が短い場合は、正直に答えてもいいでしょう。また、さまざまな職歴を経ている人は、すべてを語りすぎても「根気がない」との印象を与えかねません。数ある経験の中から、面接を受けている企業に関連の強い職種だけを選んでアピールしましょう。
さらに、企業側が興味を示してくれると、「具体的にどのような仕事をしていたのか」と聞かれることがあります。スキルシートには過去の仕事内容が「事務職」「営業職」というように、おおまかにしか記載されていないからです。詳しく経歴を話そうと思えば、アドリブでは困難です。事前にシミュレーションをして、答えを用意しておくのが得策です。なお、どれほど充実した職歴があっても次の職場に生かせなければ意味がありません。面接先の企業と職歴をうまく関連づけ、「この経験をもとに御社ではこのようなキャリアを歩みたい」とまで話せると派遣先企業に好感を持たれるでしょう。
派遣先に関すること
働き方についての価値観を照らし合わせたり、企業への思い入れを確かめたりするために「派遣先についての質問」もよくされています。「どうして派遣を選んだのか」「なぜ弊社なのか」といった根本的な動機まで聞かれることも珍しくありません。これらの質問で、派遣先企業は派遣社員の人間性やモチベーションを見極めようとしています。嘘をつく必要こそないものの、誤解を招かないよう「御社で働きたかったので、採用枠の多い派遣を志望しました」のように、ポジティブな言い回しを意識しましょう。また、詳しく話しすぎると派遣先企業から深く追求されてしまうので、簡潔に答えるのが得策です。
「残業はできますか」も、ありがちな質問です。特に理由がなければ「できる」と答えて問題はありません。ただし、できない事情があるなら、それを踏まえて「できない」と正直に答えましょう。そのほか、派遣先で男女比や年齢構成に偏りがあり、派遣社員が少数派になる場合は「やっていけそうですか」と確認されます。本気で働きたいなら、ひるまずに「大丈夫です」と断言するようにしましょう。そして、有名企業であれば「弊社の仕事内容を知っていましたか」などの質問もされます。「はい」「いいえ」で答えるだけでなく「はい、たとえば」と、具体例を挙げるのが回答のコツです。
3. 派遣の面接の逆質問では何を聞いたらいい?
逆質問といって、「そちらから何か聞きたいことはありますか」と言われる場合もあります。逆質問で何を言うべきか、面接前から用意しておきましょう。
逆質問で聞いておきたいこと
まず、「仕事内容」「求められているスキル」などは効果的な質問です。ホームページやそれまでの面接だけではわからなかった、現場の実情を教えてもらえることもあるからです。また、「自分は本気でこの企業で働きたいので参考にしたい」との意欲も示せます。似たような逆質問として「就業開始までにしておくといいことはありますか」も好印象です。答えてもらったことを実践しておけば、スムーズに現場へと入れるのもメリットです。
さらに、「御社に適した服装はありますか」「ヘアスタイルや装飾品などについての制限はありますか」などの質問も効果的でしょう。これらのルールは就業日までわからないことも珍しくありません。初日からルール違反を犯してしまうと、同僚からの評価が落ちてしまいます。そのほか、「御社には残業はありますか」などの質問をすることも可能です。ただし、聞き方によっては「残業が嫌だ」との意思表示にも聞こえてしまいます。「前職でも経験していましたし、問題はないのですが」「月のスケジュールを知るための参考として」などの前置きをして、慎重に質問しましょう。
逆質問で聞いてはいけないこと
派遣先企業の評価を落とす逆質問もあるので注意しましょう。まず、時給や昇給など、給料についての質問は避けるべきです。労働条件は気になるところではあるものの、面接で口にすると「給料しか気にしていない」との印象を与えかねません。ほかに条件のいい派遣先が見つかれば心変わりをする可能性があると思われてしまいます。次に、契約更新や契約終了の条件なども聞かないでおきましょう。これらを質問しても派遣社員には答えにくいですし、面倒な人材に見えてくるからです。
「正社員になれる確率はありますか」という質問も止めましょう。もしも派遣先企業にまだその考えがないと、「契約も結んでいないのに将来のことを気にしている」といった具合に映ります。正社員登用の有無は派遣元会社に確認するのが無難です。そして、派遣先の企業理念や事業内容なども逆質問には向きません。自力で調べられることなので、「職場に興味がない」と見られてしまいます。そのほか、「質問はありません」もやる気がなさそうに思われるため、逆質問は必ず返しましょう。
4. 派遣の面接を成功させるためのポイント
面接を派遣社員が受ける際には、意識するべきポイントがあります。採用担当者に好印象を残せばその時間で契約が決まることもあるので、最大限の努力をしましょう。
派遣先に合わせたアピールをする
求める人材像は企業によって違います。たとえば、製造業であれば黙々と真面目に仕事をこなしてくれる派遣社員を探しています。一方、テレフォンオペレーターなら話し方が丁寧で礼儀正しい人材を入れたいと考えているでしょう。派遣の面接では、派遣先企業にとっての理想の人材を思い浮かべ、自分をそこに合わせます。明るい人材を求めている職場ならハキハキと話すなど、採用担当者との接し方を工夫しましょう。
また、派遣先では即戦力になることが求められています。つまり、派遣社員には現場で生かせるスキルがピンポイントでそなわっていなくてはいけません。もしもミスマッチがあると面接で矛盾点を追及されてしまいます。面接で高く評価されるためには、そもそも、自分の経歴やスキルで貢献できる派遣先を選ぶようにしましょう。
意欲を伝える
派遣先では経歴やスキル以外にもやる気や意欲が評価されます。なぜなら、派遣先企業が採用でもっとも重要視しているポイントは「一緒に働きたいかどうか」だからです。十分なスキルがあっても、仕事の優先順位が低くてやる気の感じられない派遣社員と働きたい企業はないでしょう。逆に、スキルが未熟な派遣社員も思いが伝われば、契約にいたる可能性が出てきます。
そして、スキルシートだけでは派遣社員の意欲は伝わりきっていません。面接は派遣先に思いを示すチャンスです。話し方や受け答えの印象で派遣先からの評価は決まるので、ビジネスマナーや敬語には気をつけましょう。また、相手の質問に対して「わかりません」で終えたり、間を空けすぎたりするのも厳禁です。採用担当者とのスムーズな会話を心がければ、好印象を抱いてもらいやすくなり、契約にも近づくでしょう。
質問の答えを考えたうえで派遣の面接へ行こう
派遣の面接ではさまざまな質問がなされます。ただ、変則的な質問がされることは珍しく、ほとんどは定番の内容についての回答が求められています。そのため、事前にシミュレーションをすることは比較的簡単です。