目次
2024年12月 | 派遣会社 厳選3社
1. 派遣社員と正社員の無断欠勤の違い
派遣社員の雇用形態は勤め先との直接契約ではありません。同じ無断欠勤でも、正社員と派遣社員では及ぼす影響が大きく違います。それぞれの立場でどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでその具体的な違いを確認しておきましょう。
関係者の数
まず、正社員と派遣社員では関係者の数に大きな違いがあります。正社員の場合は勤め先の企業と従業員というシンプルな関係なので関わる人も少ないですが、派遣社員の場合は派遣元である派遣会社と派遣先企業の両方が関わるので、正社員に比べて雇用面の関係者が自然と多くなります。また、同じ派遣会社から同じ企業へ派遣されている社員が複数いるケースもありますが、その派遣社員たちも派遣元が同じという意味では関係者といえるでしょう。そのため、一人の派遣社員が無断欠勤をするだけで関係各所への連絡が飛び交うことになり、巻き込まれる人の数が多くなります。派遣元の企業の責任を問われるのはもちろんのこと、派遣元が同じという理由だけで他の派遣社員たちが白い目を向けられてしまう可能性も否めません。
影響の範囲
正社員の場合、もし無断欠勤があったとしても他の従業員たちでカバーすればその影響を最小限に抑えることができるかもしれません。しかし、派遣社員の場合は誰かがカバーできる範囲を超えて影響が広がることがあるので、その点を肝に銘じておく必要があります。派遣社員が無断欠勤すれば、予定された業務が滞るうえ、正社員を含む他の従業員に残業が生じたりもするでしょう。そのような事態が引き起こされれば、派遣社員自身の評判が下がるのはもちろん、派遣元である派遣会社の印象も悪くなってしまいます。派遣会社は派遣社員を雇用している立場にあるため、派遣先企業に従業員を紹介している以上、その従業員が無断欠席をすれば当然派遣会社が責任を問われることになるでしょう。派遣社員が無断欠勤すれば、会社としての信用を失うことになります。信用がなくなった結果、企業からも契約を打ち切られれば、最悪の場合派遣会社が倒産することもあるかもしれません。
他の派遣社員へ及ぼす影響も考える必要があります。もし派遣先企業に見限られて派遣会社との取引を停止されるようなことになれば、同じ派遣会社に所属する他の派遣社員も仕事を失うことになります。真面目に働いている人たちの生活が突然揺るがされるような事態になれば、予期せぬトラブルに発展することもあるでしょう。たった一回の無断欠席でもその後どのような影響を及ぼすのかは計り知れません。派遣社員として働く場合は責任感を強く持つ必要があります。
2. 派遣社員が無断欠勤したときの派遣元・派遣先の動き
派遣社員が無断欠勤をした場合、関係者はどのような対応をするのでしょうか。ここでは、派遣社員が無断欠勤したときの関係者たちの動きを時間の経過とともに説明していきます。
1. 派遣先から派遣元へ連絡が行く
はじめに予想されるのは、派遣先から派遣元へ連絡が行くことです。普段、派遣社員は派遣先へ直接出社します。派遣社員が無断欠勤した場合、その事実を最初に知るのは派遣先企業になるでしょう。したがって、派遣先企業はまず派遣元である派遣会社へ無断欠勤の事実を連絡することになります。場合によってはその前に派遣先企業が派遣社員へ直接連絡をとろうと試みることもありますが、派遣社員は派遣先に雇用されているわけではありません。多くの企業は立場を踏まえたうえで、取引相手の派遣元に連絡するでしょう。
2. 派遣元から派遣社員へ連絡が来る
続いて起こるのは派遣元から派遣社員への連絡です。派遣会社は派遣先から連絡が来たときに初めて派遣社員の無断欠勤の事実を知ることになります。派遣先から連絡を受けた派遣元は、当然無断欠勤した従業員のもとに連絡を入れるでしょう。派遣会社は立場上、雇用している派遣社員の状況を確認する責任があります。電話やメールなどあらゆる手段を使って派遣社員と連絡をとろうとするため、この時点で複数の着信が来ることが予想されます。もし連絡が取れないとなると、登録されている緊急連絡先に連絡がいくことになるでしょう。
3. 派遣元が派遣社員の安否確認をする
ひと口に無断欠席といっても、確認するまでは何が理由になっているのか周りの人たちは窺い知ることもできません。電話やメールでも連絡がつかないとなると、派遣会社は従業員の安否を確認するために自宅訪問をしたり、警察に相談したりすることになります。たとえ仕事に行きたくないという理由の無断欠勤だとしても、この時点では判断材料が何もありません。派遣会社が事件や事故の可能性も考えながらそのような行動を起こすのは当然の流れといえるでしょう。仮に警察沙汰になるようなことがあると、影響範囲はどんどん広がってしまいます。もし無断欠勤をしてしまったとしても、電話連絡が入った段階できちんと応じて、早めに謝罪するのが好ましいです。
4. 派遣元が派遣先へ正式な謝罪をする
最終的には派遣元が派遣先へ正式な謝罪をすることになります。ここまで説明した一連の動きの中でも、派遣元は派遣先企業に電話などで状況報告をしながら何度も謝罪することになるでしょう。しかし、最終的に音信不通ということになれば、実際に対面したうえできちんと謝罪をしなければなりません。その際も派遣会社のスタッフは代わりの派遣社員を手配したり、今後も派遣先として関係を続けてもらえるようにお願いしたりと、奔走する必要があります。このように、派遣社員の無断欠勤は周囲に及ぼす影響が計り知れないので、安易に選んではならない手段であると心得ておきましょう。どのような理由があろうとも、仕事を休むときはきちんと連絡をいれることが大切です。
3. 無断欠勤による派遣社員のリスク
派遣社員の無断欠勤は大勢の人を巻き込むことになります。大きな混乱を引き起こせば派遣社員自身もおとがめなしというわけにはいかないでしょう。その後にどのようなトラブルに発展する可能性があるのかあらかじめ把握しておかなければなりません。ここでは、無断欠勤によるリスクについて説明していきます。
契約解除と解雇になる
派遣社員は無断欠勤してしまうと、派遣先からは契約解除される可能性はもちろんですが、場合によっては派遣元からも解雇されることもあります。 派遣先からの契約解除においては、派遣会社と派遣先が交わしている契約内容にもよりますが、無断欠勤が契約解除の理由として認められることが定められていれば、契約期間の途中でも解除されることになるでしょう。派遣元からの解雇に関していえば、従業員の解雇はそう簡単にできるものではなく、解雇には「客観的・合理的な理由」が必要とされているのはたしかです。とはいえ、無断欠勤の後に音信不通が続くようであれば、解雇されても仕方がありません。いくら従業員に主張する権利があろうとも、そのような態度をとってしまっては関係を修復することも難しいので解雇を言い渡されれば受け入れるしかなくなります。
損害賠償請求をされる
損害賠償を請求されることも想定しておかなければなりません。派遣社員が無断欠勤をした場合、無断欠勤によって生じた損害自体に賠償請求をされる可能性もないとは言い切れないでしょう。また、派遣先企業の入館証などセキュリティカードを持ったまま無断欠勤をして、返却をしていない場合はさらに厄介な問題に発展することもあります。派遣先としてはセキュリティカードがあればオフィスに出入りできてしまうことになるので、関係がなくなった人にいつまでも所持されるのは不都合が生じてしまいます。最悪の場合、派遣先はセキュリティシステムそのものを変更しなければならない可能性が出てくることもあるでしょう。その費用は決して安く収まるものではありません。そもそもの原因を招いた派遣社員が損害賠償請求をされることも十分あり得ます。
仕事を紹介してもらえなくなる
無断欠勤をすると、仕事を紹介してもらうことができなくなるかもしれません。そもそも一度大きな問題を起こした従業員を他の企業に派遣するのは気が引けるのが普通です。たとえ無断欠勤後に誠実に謝罪をするなどして解雇を免れたとしても、その後の仕事が順調にいくとは限りません。また、派遣会社は無断欠勤など派遣先に迷惑をかけるような行為をした派遣社員を社内情報として共有します。そのリストに入れば、積極的に仕事を紹介してもらえることはほぼなくなります。派遣会社を変えれば解雇や問題行為の登録といった履歴はリセットすることはできるでしょう。しかし、派遣会社を変更したことで仕事の選択肢が狭まったり、収入が減ったりするリスクも付いてきます。派遣会社を変えたからといって、必ずしも元の生活を取り戻せるとは限らないということを肝に命じておかなければなりません。
4. 未払い分の給料はどうなる?
無断欠勤する前に働いた分で、まだ支払いがされていない給料については通常通り支給されるのが法的なルールです。大抵、どのようなことがあってもその分の給料はきちんと支払われます。ただし、いつまでも音信不通の状態を続けていれば、支払われるはずの給料も支払われなくなるかもしれません。振り込みがされない場合は請求することも可能ですが、無断欠勤した事実は消えないのでそれをとがめられれば権利の主張もしづらくなってしまいます。また、失業手当を受けたり確定申告をしたりするためには、離職票や源泉徴収票を発行してもらわなければなりません。生活のことを考えると、無断欠勤したり連絡を絶ったりすることは賢明ではないといえるでしょう。
5. 派遣社員が欠勤や退職時にすべきこと
働く以上、欠勤や退職の事情が生じることは珍しいことではありません。そのときにどのように対応するかでその後の状況も大きく変わります。トラブルを招かないようにするためにも、適切な対応をすることを心掛けましょう。ここでは、仕事を休むとき、あるいは辞めるときの正しい対応について説明していきます。
欠勤するとき
欠勤するときは、まずは派遣先の上司へ連絡して、欠勤することについて許可を得なければなりません。急な欠勤なので、丁寧に対応することを心掛けましょう。派遣先からの許可が取れたら、次は派遣会社にもその旨を報告します。連絡手段にも配慮しなければなりません。急な休みの場合は電話で伝えるのが社会人としてのマナーです。メールやアプリなどで報告するのは好ましくなく、自身の評価に直接的に影響を及ぼすことになりかねないので気をつけましょう。また、欠勤後最初に出社するときは謝罪をするのも大切です。職場の人たちに一言謝罪をするだけでわだかまりを残すことなく働くことができます。
退職するとき
派遣社員が退職を考えるのは「派遣先を変えたい」場合と「派遣社員自体を辞めたい」場合の2パターンがあります。それぞれ違った対応をしなければならないので、正しい対応の仕方を確認しておきましょう。
派遣先を変えたい
派遣社員として働いていると、どうしても相性が合わない派遣先に当たることもあるでしょう。派遣先を変えたいときは、契約期間の終了まで勤めたあと、その後の契約は更新せずに別の派遣先を紹介してもらうのが基本となっています。どうしても契約期間を全うできそうにないときは派遣会社に相談して代わりの社員を割り当ててもらいましょう。その際も、次の派遣社員が見つかるまでの猶予期間は仕事を続ける必要があるのであらかじめ理解が必要です。ただし、あまりにコロコロ派遣先の変更を希望していると、派遣会社からの印象も悪くなります。積極的に仕事を紹介してもらえなくなるかもしれないので気をつけましょう。
派遣社員自体を辞めたい
派遣社員という働き方自体を辞める場合は、契約終了の1カ月前までには派遣会社にその旨を相談し、契約満了まで勤めた後に退職するのが基本です。別の派遣社員を探したり、仕事の引き継ぎをしたりするにはある程度時間を要するので、なるべく会社に負担をかけないよう余裕を持って円満に退社できるようにしましょう。
派遣社員の無断欠勤は影響範囲が大きい!欠勤は必ず連絡しよう!
派遣社員は正社員と違って関わる人が多いので、無断欠勤してしまうと多くの人に迷惑がかかります。休んだそのときは気持ちが楽になるかもしれませんが、その後はさまざまなトラブルを引き起こすことになります。場合によっては賠償請求されることもあるでしょう。派遣社員として働く際は、無断欠勤は絶対に避け、派遣会社の担当者と連携しながら誠実に働くことが大切です。